白雨詩社
ずっと前、仕事の請求書を出そうとしたときに先方から「個人名ではないほうがいいのですが」と言われたことがあって、そのときに、翻訳屋としての屋号を「白雨詩社」としました。
それというのも、若くして天に召されたひいおじいさんが、白雨詩社という看板を出して、ちょっと英語を教えたり翻訳をしたりしていたことがあったらしいことを知ったからでした。
ひいおじいさんは、詩や俳句を愛した人だったようで、郵便局につとめていたのですが、お金はほとんど全部本につぎ込んでいたとか。着るものも夏の着物と冬の着物を1枚ずつ持っていただけで、いつも同じものを着ているのを見かねて人が着物をくれたときも、それを売って本を買ったとかいう話がありました。
死後、彼の友人の方たちが遺稿を自費出版(慈悲出版?)してくれていて、その本を、わたしは、一人娘にあたるおばあちゃんからもらいました。おばあちゃんも、もう他界しています。
本は「悲しき国」というタイトルで、大正11年10月にまとめらたもの。「自由討究社蔵版」と書いてあって、装丁はシンプルだけれど、背表紙に、灯りのともったロウソクと星をモチーフにした、自由討究社のロゴらしきものがエンボスされています。
今日、ひさしぶりに、この本を開いてみたとき、最初に目にとまったのは、こんな句でした。
皿にもりし菓子の七色七色の中に黄なるはレモンの香あり
最近、ひいおじいさんのことや、あの時代の感触について、なんとなく考えています。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。


コメント
こんにちは。二日ほど前にポートランドに戻り、やっとこちらを訪れる時間もできました。遅ればせながらブログ開設、おめでとうございます。とてもゆったりと時間が流れている感じがします。「白雨詩社」という名前は味わい深いですね。時代の中で何かを感じてそれを文章に残してくれた人がいたというのは、うまくは言えないけど救われるような気持ちがします。
投稿: あやこ | 2006.11.20 00:23
あやこさん、こんにちはー、きてくださって嬉しいです。ちょうどパートナーとあやこさんのことをお話していたその日に、あやこさんからメモが。。。びっくりでした。白雨って、夏の夕立のことだそうです。ザーッと激しく降って、サッとやんで、そのあと空気が涼しくなるやつです。虹なんかも出たりして。。。と今思って、はっとしました。自分の中の「白雨詩社」のイメージが今、変わりました。そうだったのかー、という感じ。。ありがとございます!
投稿: な | 2006.11.21 10:49