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2007.02.22

水の人々の文化

台湾に行くことになりました。少しいろいろとリサーチを始めたときに、台湾の山岳地帯や離島に、漢民族が移住してくる前からそこに住んでいた人々がいたことを知りました。

異なる部族がいくつもあって、それぞれに文化が違います。わたしのパートナーは、特に、本島の南東にある蘭嶼島に暮らすタオ族(旧称ヤミ族)に気を惹かれました。歌や踊りの文化があるのに「楽器というものがまったく存在しない」とガイドブックに書かれていたから。

タオ族はマレー・ポリネシア文化圏に入る人々で、それはそれは美しい船を持っているそうです。この船でトビウオ漁をする、自給自足の暮らしを数百年間営んできたそうで、その間外部の民族との交流がなかったため、文化の特色が色濃く残っているようです。

大好きな「黒ねこサンゴロウ」(竹下文子さんの児童書シリーズ)に描かれた海の民の文化。バックミンスター・フラーが、先史時代から高度に海運技術を発達させていたと見た、東南アジアの「水の人々の文化」。それがこの島に息づいているようなのです。

ところが調べていくうちに、ガイドブックには載っていなかった事実に突き当たりました。この蘭嶼島に、台湾政府は核廃棄物の貯蔵庫をつくっていました。島民には「缶詰工場」と偽って。

貯蔵庫では結露による水が大量に発生して、ドラム缶が腐食し、放射能汚染が起きていたそうです。この貯蔵庫ができてから10年ほどで、50人も障害のある子供が生まれたそうです(90年代初めの時点--その時点での人口は3000人ほどだったから、それを考えるとものすごい高い比率)。

90年代に島民による撤去運動が盛り上がって、台湾政府は2002年までに移転する、と約束したものの、実現されませんでした。

去年6月の朝日新聞の記事によると、
<約束が守られなかったことへの補償金が03年、支払われた。1人に6万3000台湾ドル(約22万円)。現金収入のある人の年収に近い額だった。
 だが心境は複雑だ。「一挙にカネが入ってきて、なんだか島の空気がおかしくなった」
 以下、「子供たちが、20台湾ドル(約70円)のジャムトーストなどを買いに来る」とか「気になるのは泥酔者の増加」とか、わたしが島に行ったころにはありえなかった状況になっている。>


台湾原住民文学選・2
故郷に生きる
(草風館、2003年)
(タオ族の作家、シャマン・ラポガンさんの作品も収録されてます)

■朝日新聞の記事の一部は、たくせんさんのウェブサイトより、転記させていただきました。
より詳しくは↓

http://takusen.seesaa.net/article/20551012.html

■タオ族(ヤミ族)の方による報告(93年のノーニュークスアジア会議にて)↓
http://japan.nonukesasiaforum.org/japanese/japan/tokio12.htm

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