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2015.02.15

削り馬づくり(1)

20150215_122033 昨日はハピーバレンタインということで、チョコにこんなお花を添えてプレゼントしてみました。ジプシーフラワーとか呼ばれる、生木を削ってつくるお花です。庭で剪定したセンダンの枝でつくりました。はじめてつくったので、花びらが飛び出したり(汗)してるけど、喜んでもらえて、うれしかった。。!

秋にイギリスで教わってきた、生木を使うこのグリーンウッドワークは、その後、おうちで少しずつ続けていくために、できることからやろうと、プーッコナイフで小さなスプーンをつくったりしていましたが、この冬のパーソナル・プロジェクトとして、「削り馬づくり」と手帳に書いてしばらく経った。。。そしててんてこまいに仕事が忙しかったのが終わった先月18日、とうとうスタートしました。

Johnhoward 削り馬とは、shaving horseなどと呼ばれるもので、木をけずるときに、その木を固定するものです。またがって、足でフットバーを前に押すことで、てこの原理で手元の材に「押さえ」がかかる、という仕組みの、人力デバイス。写真は、イギリスでお世話になったマイク・アボットさんの削り馬の設計図から、ジョン・ハワードさんという方が作られたもの。

このデザインのように丸太をけずって作るのが、むかしむかしからのトラディショナルなデザインらしいです。でも、自分の自由になる森や木々や丸太を持っていない人、限られた道具しかまだない人でもつくれる、ホームセンターで入手できるような材料でつくるバージョンも考案されていたり、さまざまな削り馬があちこちで手づくりされていて、バラエティ豊かで楽しいです。

自分はどんなのを作ろうか?とデザインを考えることしばし。。。まず思ったのは、自分の削り馬にはこんなことを望んでる、ということ。

・持ち運びしやすい(徒歩で、自転車で。できればキャンプに連れて行きたい)
・軽い
・ばらせる/たためる
・猫背にならずに使える
・とりあえず、小物を作れるサイズ感&頑丈さ(できれば、いすの脚もけずれたらよいけど)
・ときめく見た目

それからリサーチして、手のひらサイズのノート18ページにわたって、描いて、考えて、計算して、模型をつくって、悩んで、を繰り返した挙句、ようやく製作に入りました。

ほんとうは丸太からつくるトラディショナルなのがよかったけれど、持ち運べないし、家の中で場所をとるし、なにより、丸太を割ったりする道具類がまだないし、割った丸太を削って脚の部分をつくったりするためには削り馬がいるし(にわとりか卵か!みたいな)、最初はとにかく、入手しやすい、加工しやすい材料で、プロトタイプ(テストバージョン)をつくろう、と決めました。

20150213_153052 ホームセンターへ自転車を走らせること数回、結局、とても安価な、厚手のSPF材を買いました。そして第一の難関が、穴あけ。

電動工具が苦手な自分は、マイクさんのところで使った手回し式ドリルを探しました。オークションで探して、やってきたのはこの赤いハンドルのかわいいやつ。一説によると、40年前のデザインらしく……、「繰子錐(くりこぎり)」などの呼び名で昔の大工さんにはおなじみだったものらしいです。

わが家で一番重みのある家具である、この家を借りたときについてきた古いピアノ、についてきた横長のピアノベンチ(今は本棚にしている)に、材を固定して、穴開けをしました(下に貫通してもよいように、厚板をかませて)。前と横に鏡を置いて、確認しながらまっすぐ垂直に穴を開ける練習をなんどかしてから、本番の穴開けをしたのに、失敗してぐんと曲がったり……(汗)。 縦にそろえたつもりの穴が、ずれてたり……(笑)。

20150211_161122 そうこうしつつ、なんとか穴があくと、次の部材をどうするか考え……と、いつのまにか、手を動かしてつくりながら、その次のデザイン部分を考える、という方針になっていました。

だけど途中から、もやもやと考えあぐねるばかりで、遅々として進まず、になっていきました。

合間に雨どいの掃除をしたら、剪定が必要な木々(雨どいに葉っぱを降らせる枝たち)が見つかって、急きょ剪定。その枝をせっかくだから削り馬のパーツに使おうと思い立ちました。剪定したセンダンの枝をプーッコナイフで削りだしたとき、「ああ!この感覚!」とうれしくなりました。同時に、これまでの「もやもや」の意味がくっきりしはじめました。

わたしは、センダンの木のことなら、それなりによく知ってる、と思った。いつ葉を茂らせ、いつどんなふうに葉を落とし、どのくらいのスピードで成長するか、どんな実がなって、その実はどんな鳥をよろこばせてるか、茂らせてくれた葉のおかげで夏の部屋がどれだけ涼しくなるか、などなど。この家の「ねこの額庭」に生えてくれた木だから、日々一緒にここで暮らしてきた木だから、わかることがある。そして剪定されなくてはいけなかった、この枝も、立派に成長したセンダンの時間がつまっていて、だからそれを生かしたかった。そして削ってみると、その豊かな水分や樹皮の下のあざやかな緑色や、独特の年輪に出会えて、またセンダンについて新しく知っていけた……。

ひるがえって、ホームセンターで買ってきたSPF材(いわゆるツーバイフォー材)はというと、(今回調べてみて初めてわかったことなのだけど)、SPFとはSpruce(トウヒ)、Pine(マツ)、Fir(モミ)の頭文字で、今私が手にしているこの個体はこの3つの「どれか」ではある、ということらしいのだけど、一体トウヒなのか、マツなのか、モミなのか、はっきりしないのでした。そして一律におんなじようなサイズに製材されている……。この「木」の個性は、かぎりなく消されている、「モノ」になってしまっている、そんなことを、感じていたから「もやもや」して、いつまでも製作が進まなかったみたいでした。

グリーンウッドワークに惹かれる大きな理由は、木々と知り合える感覚があるから。それが、SPF材は、知り合うのがとても難しいのでした。削り馬ののプロトタイプづくりなんだし、失敗しても大丈夫な安価な材で、というのはあったけど、でもやっぱりこんなのっぺらぼうな材でものをつくるのはなー、と思ってしまいました。

でも半日くらい、このことについて考えていたら、次第に、SPF材が不憫に思えてきました。悪いのはSPF材ではない、SPF材になった木々に申し訳ないことをしているのはわたしたち人間のほうだ、と。

手元にやってきたこのSPF材、じっくり見れば木目も美しいし、手触りはやわらかくてやさしい。樹種の特定はできないけど、ご縁のあったこの材を、なるべく大切に使おう、と、だんだんそういう気持ちに変わっていきました。

20150212_190619_2 20150212_182348_2 乾き切ったSPF材は、生木のグリーンウッドワークの感覚とはだいぶん違ったけれど、削り馬のペダルの部分を、削り出して作って見ました。 

バーになる部分を削るために、四隅にナイフを入れて割り取っていくと、直角に製材されていたこの木の中に、ちゃんと木目の流れがあって、その流れにそって独特に流線を描いて割れていくのがわかった。なんか、ほっとしました。20150212_185905_220150212_184050_2

削り馬づくりはまだ試行錯誤の最中で、途中です。前足を、剪定したセンダンでつくってみているので、足が本体にささる部分(ほぞ)を削ったあと、乾くのを待ってみています。「ラウンダー」と呼ばれる鉛筆けずりのお化けみたいなもので、直径25.4mmの円筒形に削ったほぞは、今のところ25mmまで縮みました。もっと縮むはずなので、もう少しまってみます……。20150211_150908 20150211_151657 20150211_151716

20150213_153815_2 はたして乾ききったSPF材と、わが家のセンダンの枝は、うまく合体できるかな。。。?

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