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2015.06.29

ちいさいぼうけん再び~グリーンウッドワークのグリーンさ

Img_9780 また小さいぼうけんに出ていて、さきほど帰りました :)

今回の行き先は、今まで一度も行ったことのなかった、岐阜県。美濃というところ。そこにある、森林文化アカデミーという森林関係の専門学校で開催されている、グリーンウッドワークの指導者養成講座に参加させていただけることになったためです。

Img_9758 東京から夜行バスに乗り込んで、朝五時半に到着。早朝からやっているバスターミナルの近くの喫茶店でまずモーニングをいただいて(名古屋系の喫茶店だったせいか、珈琲を頼むと、豪華なたまごトーストがサービスでついてきました!しかもコーヒーカップは大好きなウェッジウッドのいちご柄♪幸先がいいというものです)。しばしゆっくりしました。

それから長良川鉄道に乗って、目指す野営地への拠点となる駅へ。そこから河川敷まで出る始発のバスをしばし待つ……。坂口恭平の本を読みつつ……(坂口さんのパリ行き旅日記の本だったから、旅のお供にちょうどよかった)。

バスでなくて、歩いてもいいかな、とも思い立ったので、おそうじをしていた地元のおばさんに声をかけて、川まで歩くとどのくらいですか、と尋ねると「まあ、15分くらいやね。わたしらは、ほら、慣れてるから……」と言いつつ道案内してくださった。ただ若干上り坂気味の道だったので、荷物も大きいので、やっぱりバスで行くことに。「バスがあそこの信号で右に曲がってくれたら、もうけもんよ!そしたらすぐよ」とおばさん。なんだかとても親しみやすい方で、この地がもう好きになりだしました。

バスが来て乗りこむと運転手さんが「このバスは○○行きだけど、だいじょうぶ?」と声かけてくださり…。みなさんおやさしい……。

Img_9764 無事バスで河川敷まで到着できて、野営によさそうな場所をみつくろいました。なるべく人目につかないところ……そして増水しても危険でないところ……としばらく歩き回ってみて、24時間使えるきれいなお手洗いと、お昼が食べられるレストランと、地元のお弁当やら野菜やらを豊富なセレクションから買える場所からも近くて、人目につきにくく、しかも全面リバービューというスポットに決めました。しかもそこは地面が草地で、テントのペグもきく場所。ペグがきかなくて、かわらの石にガイラインを結ぶことも覚悟していたので、いい草地が見つかったのはほんとにありがたかったです。

設営中もなるべく人目につかないように、さっと高速で設営するよう、ベストを尽くしました。

テントを立てて、ごろんと一休み。扉を開けたまま、じいっとしていたら、この場を乱したわたしの気が静まって、場がもとの静けさになったころに、つばめや蝶がテントのすぐそばをふつうに通り過ぎるようになり、それを見て安心して、一寝入り…。

それからお昼を食べに出かけて、長良川の鮎でつくられた「ひつまぶし」をいただきました。おいしかった…。獲れたてのとうもろこしを塩ゆでしたのを売っていたおじさんもいたので、それもいただいてみた。大変おいしかったです。そして大好きないちごが一パック山盛り200円(!)だったので、即買いしました♡

それからレンタサイクルを借りてみた。そうしたら、今日は何かの催しをやってたせいか、レンタサイクル200円の代金を払ったら、お買い物券200円分をくれた。ありがたく、お土産代の一部にさせてもらいました。

自転車で、まずは明日の会場の森林文化アカデミーへの道を一回たどっておこう、とそちらへ自転車を走らせると……なんとキャンパスはものすごく広く、会場になる「森の工房」はまさかの山の上(というか、車なら「丘の上」くらいの感じなんだろうけれど、自転車ではとうてい無理なレベル)。

講座当日の朝にテントから出発してレンタサイクルで会場入りする計画は早々にあきらめて(あまりに最初から汗びしょな参加者にはなりたくなかったので)、別の策を練りました。

幸い、鉄道の駅は駅舎もいい感じに古い無人駅だったけれど、ロッカー(しかも大型のロッカーも!)があったので、朝一でテントを撤収して、河川敷から早朝のバスで駅まで出て、駅のロッカーにテント道具一式をあずけて、そこから電動自転車を借りて会場へ向かえるかも、と思い立ちました。ただ、お天気次第では、テントを朝一で撤収できないかも(雨や朝露で濡れてる状態での撤収は避けたい)。

まあ、不安や心配をしてもお天気のことばかりはわからないし、どうしょもないので、そこはいったん考えるのをやめにして、長良川鉄道の駅のホームがそのまま温泉の入口になっている、というところへ、お風呂に入りにいくことにしました。レンタサイクルは5時までなので、お風呂でゆっくりして帰って来るには間に合わないので、返却。歩いて最寄り駅までいきました。

駅までの長い上り坂をがんばって歩いていくと、坂の途中の階段にすわって、脇に自転車をとめて一服しているおばあさんがいたので、とおりすぎざまに「こんにちは」と声をかけたら、歩くなんて、えりぁーねー、と笑顔で言われた。確かに車がびゅんびゅん通るばかりの道で、歩く人は見かけない……。どこまで行くのと聞かれたので、駅まで、というと、また、えらーねー、と。えらいね、と言っているようでした。ニュアンス的には大変なことしてるねって感じ。そして駅までの道をていねいに教えてくださいました。

最寄り駅につくと、次の電車までは30分以上あった。単線で、短いホームがあるだけの、改札のない無人駅。高校の真裏にあってグランドが見下ろせた。吹奏楽部の練習の音が聞こえる中、本を開いて読みかけると、カン、カン、と小さい鐘音や「よぅし!」というかわいい声が聞こえたので、なんだろな、と思ってよく見てみると、ホーム真下はちょうど高校の弓道場で、はかま姿の弓道部員たちが練習をしていました。おもしろいのでずうっと眺めていた。的までかなり距離があるのに、みんな結構的中させていた。的にあたると、見ていた人たちが「よぅし!」と声を出すならわしらしかった。鐘もうちならすタイミングが決まっていたらしかった。

後で、森林文化アカデミーの講座でご一緒した方と話したら、その方がこの高校のご出身だったので「部活はなんでした?」ときいてみると「吹奏楽。今の時期は毎年コンクール前でほんとにたいっへんでした(笑)」と。弓道部の練習を見かけたことを話すと、この学校は弓道部がわりと強いんです、と教えてくださいました。どうりでみんな上手だったんだ…。

Img_9776 Img_9769 そうこうするうちに、電車が来て、ガタゴトと緑の中を走っていくと「日本のまん真ん中」だという「みなみ子宝温泉」に到着。そうだと聞いてはいたものの、単線のホームに降り立ち、改札も通らずに目の前のガラス扉を入ったらすぐ温泉のげた箱がある、というすてきさにはヤラレました。電車をおりるとき、運転手さんが「乗車証明書」をくださり、これを見せると600円の入浴料が200円になる、というのもすてきでした。

ものすごい広い芝生の敷地に露天風呂があり、見渡すかぎり蒼々とした山並みと青空。そしてひっきりなしにつばめが飛び交っているなかで、ひのきの湯船につかり、あったまったら自然の風に吹かれて涼む……の繰り返し。最高でした。お風呂とはもともと、ほてったからだを風に当てることだった、という話をどこかできいたけど、なるほど気持ちがいいもんだな、自然の風は、と思った……。

Img_9768 お風呂上がりはたたみの上でごろ寝。それから早めのおゆうはんをとなりのお座敷でいただいてから帰路につきました。

車窓からはゆうぐれの赤紫のきれいな空が山の上に広がっていました。そのうち日が暮れて、元の駅につくころにはとっぷりと闇が。その中をあるいて河川敷に戻りました。

暗い中を歩くのは、安心だった。闇にまぎれられるほうがいいのでした。人間に見つかることがいちばん避けたいことだという、野生動物の気持ちがちょっとわかったような。なるべく目立たずひっそりと野営するために、テントに入ってからも灯はつけず、すぐ寝ることに。朝5時半からフル活動だったので、いつもよりうんと早い就寝時間でも無問題ですぐ寝つけました。

最初は車の音もしていたし、人の声もときどき聞こえたけど、いったん寝て深夜に一度目覚めたときは、とても静かで。月もきれいで。そして何より、人の気配がしないというのは、平和でした。

翌朝、5時台に目覚めてテントの扉を開けてみたら、天気予報をくつがえして晴れていた :) 気持ちのいい朝でした。空にはしらさぎのような鳥がゆっくり飛んでいた。それを眺めていて、鳥はなんにも荷物も持たずに飛んでいくなあ、わたしも空を飛べたなら、こんなふうに大きなかばんなんか持たずに移動するんだろうか、とか思いました。

Img_9785テントのフライシートをチェックすると、夜露もそんなに付いてないので、人通りが始まる前の早めの撤収を敢行しました。テントから木までラインを張って、寝袋をさっと干し、そのあいだにテントの中を片付けたり、テントの水分をさっと拭いたり。それから寝袋を取り込み、テントを畳みました。最後グランドシートを風に当てて乾かしました(今回切り売りのタイベックを使ってみたら、すごく早く乾いてくれた。軽量だったのもグーでした)。

Img_9787荷物をまとめてからバスの時間まで、顔をあらったり、珈琲を淹れたり(今回はガスバーナー+ファイヤースチール+簡易珈琲フィルターでぱぱっと3分で淹れられるよう用意してきました)。

* * *

Img_9788ロッカーのある駅まで行ってテント道具を預けてから、グリーンウッドワークの講座会場へ。 森林文化アカデミーの緑あふれる広い敷地内にはそここに東屋的なものが建てられていたので、はやくも飲み干してしまった珈琲のおかわりを、またここで沸かして水筒につめてから、会場入りしました。

講座は1日かけてスプーン1本を、生木の小径木からつくる、というものなんだけれど、情報量がすごかった!メモをとりまくり、写真をとりつつ、作業して。あっという間に時間が過ぎていきました。Img_9807 日の光を浴びて輝く緑の木々を眺めつつ、涼しい風に吹かれつつ、ひたすら生木を削るのは、やっぱりとっても気持ちよくて。

自分にとってグリーンウッドワークは、生木(グリーン材)の「グリーン」と、手道具でつくるため電気・石油フリーだという意味での「グリーン」のほかに、野で寝泊まりしながら行うもの、という意味での「グリーン」もセットになっているようです。森でキャンプしながら椅子を作ったイギリスでの日々でも、椅子づくりのチャレンジのほかにキャンプのチャレンジもあったのだった(気温3度の夜をターポリン1枚&入口開放型のベンダーテントでどう越すかとか、焚火で沸かしたお湯でどう洗髪するかとか、ろうそくの灯だけで自分のテントまでの道をどう見極めるかとか)。

今回は、特にキャンプしたかったわけではなかったけれど、アカデミーの宿泊棟に泊まらせてもらうつもりだったのが、そうしてしまうのは色々お手数をかけてしまうことがわかり……急きょ初めての野営(ちゃんとしたキャンプ場ではない場所での)のチャレンジが加わり、その体験とグリーンウッドワークの学びが、またしても合体してしまったのでした。そしてそれは当然で自然なことだと感じている自分がいたりします……。旅館に泊まることを考えもしたけれど、やっぱりなんだかそれは違う、と感じたのでした。

19208540416_903c001c5d_z できあがったスプーンは、一応みんな同じ型を参考にして作ったはずが、こんなにも十人十色(写真は先生の撮影してくださったもの)。こういうところも、やっぱりいい! 

19228791722_a215b9372a_z これは別の参加者の方のつくったスプーンだけれど、おさじ部分ににっこりマークみたいなのが出てきていました \(^o^)/ 作った方ご本人に、どこか雰囲気が似ていて、とってもかわいいです…!

また別の参加者の方は、「木工は思い通りにいかないところが好き、予想外になるのがいい」とおっしゃっていて、同感だなーと深々と思いました。今回は自分は「なるべく型どおりに」というのにトライしてみたのだけど、心のどこかでは大きなふしを生かしてみたらどうなるかなーやってみたいなーという想いもちょっとあったのでした。

材は2種類から選べたので、わたしは初めて名前をきいたタムシバという材でつくりました。この木は葉っぱを噛むとさわやかな味がする、という木で、実際に噛ませてもらったら、おいしかった。削ると、ましろい肌で。樹皮をはいだら、小さいとげ状の、これから出ると思しき枝の赤ちゃんたちがいたのも、ぐっときた。

初めましての木と知り合いになれて、うれしかったです。

Img_9823 あいかわらず作業が遅い自分は、最後まで仕上がらず(汗)。柄は太いまんま……。残りは自宅での作業です。一応、自宅で使っている、(み)ちゃんがつくってくれたお気に入りのカレースプーンに近いものにしたかったので、この後はモデルさん(写真右側)に見習いつつ進めてみます。

指導にあたってくださったグリーンウッドワーカーの久津輪さんと加藤さんは(そしてアシスタントをしてくださった森林文化アカデミーの学生さんおふたりも)、ほのぼのとした方々で、とってもありがたかったです。ほのぼのしつつ的確に指導してくださるところはやっぱりすごいな、と思いました。参加者のみなさんも、ほわっとした方が多くて、うれしかった :)

帰りは下り坂だし、もうあとはのんびりだし、と歩きだしたら、地元の参加者の方がとおりがかりに車に乗せてくださり……駅まで送ってくださったのも、とってもありがたかったです。遠くから来てしまって、この地にご迷惑になることはなるべくしないようにと、野営も極力最小限のローインパクト&コンパクト野営を心がけたけれど、やっぱりこうして地元の方のお世話になってしまって恐縮でした……。

Img_9820 美濃の山々の緑はなんだかモリモリしていたな。樹種はそんなに大きく違うというわけではなさそうだったのに、なんでだろうな。空気とか、水とか、地場とかの違いだろか?

アカデミーも、この美濃という地も、もう少し、知り合ってみたいと思う場所です。(でも次回は野営ではなくて、古い街並みの旅館に泊まってみたい……)。

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