« 日常的な異界 | トップページ | 猫の(ち)ちゃん、旅立ちの日に »

2018.03.31

春のつれづれと、One Tree講座

春です。なんだかずっとパツパツに仕事をがんばってきていて、久々にゆるんで「まどろみタイム」を楽しんでるここ数日です。

Img_4093_3数日前には近所の公園へお花見に。例年はわたしが生き急ぎすぎて、まだ開花してない中だったり、冷たい風が吹きすさぶ中になったりするのだけど、今年は珍しく満開の桜を前にピクニックできました。今年は和食のピクニック。お正月以来、すっかり和食党になって、体調もよくなってきてる感じです。

公園はお花見の人たちで大盛況で、ちびっこたちが縦横無尽に走り回っていました。飽きずに何度も同じ場所をぐるぐる走っていたり。。。「とりさんが転んだ!」というなぞの遊びをやってた子たちもいた。ルールがはちゃめちゃだったけど、本人たちはめちゃくちゃ楽しそうで、なにより。

お花見に行くと、花もいいけど、ちびっこたちを見てるのが楽しいです。。 :)

ここの公園は植物園という別名もあって、結構敷地の奥のほうはさまざまな樹種が植えられていて、すべてに名札と解説もついていて、とても勉強になるのでした。モッコクの枝で染め物ができると知りました。「猫の額庭」にも一本あって、毎年剪定をすると切り口が赤く染まるのは体験していたから、腑に落ちた。今度は剪定枝を取っておいて、染めてみたいです。

Img_4095 梅の実が小さくみのっていて、ピンクと黄緑のグラデーションがきれいでした。植物のみなさんは着々と、季節のめぐりと足並みをそろえて暮らしていて尊敬する。。

* * *

おとといはようやっと今年のお味噌の仕込みをしました。国会中継が気になってはいたのだけど、お味噌にはよい気を入れたい、と思って、ラジオをかけたら、シューベルトの、なんだかのどかな曲がかかってたので、そちらを聞きつつやりました。

Img_4106 とんとんと、すりこぎで、煮た大豆をひたすらつぶす作業のときに、グリーンウッドワークの斧使いを思い出していました。

一週間前まで、岐阜で5日間のグリーンウッドワークの合宿講座に参加していたのでした。そこで、割った木を、斧ではつるときに、はつりたい場所を「ねらうけど、ねらいすぎないこと」と教わったのが心に残っていて。

人類は斧という道具を使いだして、もう数千年経っているんだし、みんなのDNAのどっかにそのときの記憶が入ってるんだから、力まないでやれば、ちゃんとできるものなんだよ、というふうに言われて、やってみたら、前よりもずっと思うように斧ではつれるようになったのでした。

Img_3859 今回の岐阜での講座は、またしても、日がな木を割って、はつって、削って、樹皮をはいで、切って、編んで、おいしい手作りごはんをいただいて、みなさんとおしゃべりして。。というしあわせな日々。アメリカ・ウィスコンシン州から来てくださった、ジャロッドさん&ジャズミンさんに、1本の木から手道具だけでさまざまな生活道具をつくることを教わりました。森林文化アカデミーの久津輪さんとグリーンウッドワーク研究所の加藤さんが開催してくださった、One Treeという講座です。

山桜と朴と、実際は2本の木を切ってくださってあったので、その2本のいろんな部分から、お箸、まな板、ふた付き容器、ナイフの鞘、スプーンをつくっていきました。

Img_3869Img_3889Img_3921メインの道具は斧とナイフで、斧がますます好きになりました。ナイフワークも、ジャロッドさんのおだやかでていねいな指導のおかげさまで、前よりも体にやさしくやれるようになった気がしています。木工用ナイフでの作業のポイントが、また少し腑に落ちてきた感じがしていて、うれしいです。

Img_3953

Img_4039 いつものごとく作業が遅い自分は、お箸は1組の片割れしかできないし、まな板も最後まで完成せず、ふた付き容器もスプーンもみんなの半分の大きさ(おなじ大きさにしたら作業が追いつかないので)。。。でもそんなことも気にならないくらい、ものをつくるプロセスが楽しくて仕方なかったです :) 

ふた付き容器は、shrink potと呼ばれるもので、生木をくりぬいて筒にしたものに底板を差し入れて、生木の収縮を利用して底板を締めあげていくのです。最初はゆるゆるの底板が、毎日、筒の乾燥が進むにつれて締っていくのが、おもしろい。。!まだ乾燥が進み中なので、仕上げはこれからです。たのしみ。

アメリカ北部の先住民の方たちがかつてつくっていた箒(peeled broomというもの)の作り方もざっくり教わったので、これも近いうちにやってみたい。。。

Img_4017 生木の持つたくさんの可能性にわくわくします。木とまたもすこし、お近づきになれた気がしてうれしい。。。それから、グリーンウッドワークが好きなみなさんと、またもすこしお近づきになれた気がして、とってもうれしいです。

お世話になったみなさま、ご一緒したみなさま、ほんとにありがとうございました。。!(写真はみんなの作品の一部。本の形をしたふた付き容器を作った方もいたのです、かわいい!)。

***

講師のジャロッドさんのことは、元大工さんの、アメリカのグリーンウッドワーカーということ以外、何も知らないまま講座に参加したので、彼が実はウィスコンシン州のスペリオル湖(北海道よりも大きい、世界最大の淡水湖)の湖畔地域に住んで、ネイティブアメリカンのオジブウェ族(オジブワ族、チペワ族などとも呼ばれます)のコミュニティの中で長く暮らしてきた、スウェーデン系の方だったと知ったときは、うれしかったです。

ジャロッドさんは物腰がおだやかで、説明やデモンストレーションもていねいに、ゆったりと時間をかけて行ってくださるのが印象に残りました。それでいて、アプローチは科学的というか、「このようにする理由は、ここにある」ということも教えてくださり、同時に実用重視で、型ばかりにこだわるようなところはないのでした。興味深かったし、わかりやすかった。。。

ナイフ使いのベーシックを覚えた1日目、「目を閉じて、ナイフが材にどうあたっているかをゆっくり感じとりながらやってみて」と言ってくださったときのことが、心に残っています。体がおのずと刃と材の当たりを繊細に調整していることに、気づけるように、促してくださっていました。そのあとも、特定の作業のときに、「ここはゆっくりやってみて、時間をかけて」と言ってくださったりしてた。時間との付き合い方、ていねいな姿勢、そういうところが、私の中の”欧米人”の感じ(一般的な印象です、すみません)と違うなあと思いました。

作業工程を最初にやってみせるとき、予定どおりにいかないところがあったときも、「これは今手にしている材が、こういう材だっていうことだから」と言って、淡々と受け入れて、その材と関り続けていってらしたのも心に残りました。(「もし売り物用にものづくりをしていたなら、この材は使わないことにするかもしれない。。けど、今はみなさんも投げ出さずにこの材でやってみてほしいと思うんです」「むずかしいところはあるけど、美しい木だから」というようなことをおっしゃってた)。

Img_3904 Img_4117 Img_4018 彼のパートナーのジャズミンさんも、静かな雰囲気の、手仕事を愛してやまないのが伝わってくる方でした。インディゴブルーがとりわけ大好きらしく、藍染めに心を奪われているらしかった。ジャズミンさんには、樹皮の編み細工で、ナイフの鞘をつくるのを教わりました。とてもクレバーなデザインです。楽しかった!(右の写真は、ジャズミンさんが知らぬ間に完成させていた、桜の樹皮細工の筒。継ぎ目が美しい。。)

***

それにしても。。わたしは、ふだん黙々と暮らしてる時間が長いので、大勢の人とずっと時間を一緒に過ごすのは一大チャレンジだし刺激も大きかったりして、、、はしゃいでしまったり、落ち着きがなくなったりすぐしてしまって(涙)。いつでも淡々とマイペースでいられる人たちが、うらやましいなーと思うばかりです。こんなはしゃぎがちな自分でも、木とじっくり向き合って作業ができた時間もあって、そうさせてもらえたこと、感謝しています。

できないなりに、やらせようとしてくださり。。やや時間がかかっても自分でやってみること、発見していくことを、見守ろうとしてくださったこと、ありがたかったです。

ただ、自分ももっとほかのみなさんくらいに器用だったり握力・腕力があったらよかったのに、とやっぱり思います。そしたらもっと講座がサクサク進んで、みんながもっといろいろ学べたのかも、と思うので。。。。。

Img_3951_2Img_4009_2 今回の講座では、家で自分で続けていけるベースのところを、また少し、育てていただいた感じがしています。講座の時間内に完成したのは、スプーンだけだったけれど、作業のプロセスそのものががひたすらに楽しくて、シンプルな手道具と関わりを結んでいくうれしさがありました。スプーンの粗削りを終わりまで斧でやってみれたのも収穫でした(時間はめちゃかかったけど)。

つくったものが未完成でもこんなにうれしいのは、初めてかも。。。材と関わるときの心のありようとか、道具とのつながりを育ませてもらえたことが、今もうれしいです。

ジャロッドさんのつくる作品は、人柄を表してか、控えめな中に広範な研究心とこだわりと研ぎ澄まされた技術とがぎゅぎゅっとつまったようなものたちでした。ネイティブアメリカンの伝統工法のカヌーや橇、バスケットから、スウェーデンの昔ながらのスプーン、器、ふた付き容器まで、暮らしの中で生まれてきた道具の歴史も尊重しながらものづくりをされていて、深みがあります。

別れ際、握手してくださりつつ、唐突に「See you later」とおっしゃって、でもまた会う予定などなかったので私的には「???」でしたが、また会えたら、うれしいな、と思いました。今回は作業中の質問以外、お話がほとんどできなかったけど、もしまたお会いできたら、今度はゆっくりお話をお聞きしてみたい。。。

(ジャロッドさんの職人魂のようなものに、やっぱりぶっ飛ばされてもいるのだけれど、これもなんどもぶっ飛ばされているうちに、慣れるのかも。。。)

|

« 日常的な異界 | トップページ | 猫の(ち)ちゃん、旅立ちの日に »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 日常的な異界 | トップページ | 猫の(ち)ちゃん、旅立ちの日に »