2018.08.18

自由の感覚/砂の虹

<自由の感覚>

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水の生きものだったときの自分は
今もちゃんとここに居る

その証拠に浜でしばらく過ごして
海に入ったり出たりして陽が傾いてきて
水面に金色の光の粒がこぼれだす頃には
その光の粒をかきわけて沖へ向かって泳いでいくのが
なにより なにより 気持ちいい

しばらく行ったら、片っぽの腕をぐーんと伸ばして
そのまま仰向けに反転して
空を眺めてひとやすみ
そよ風が顔の上をさらさら吹きぬけるあいだ
手足を投げ出してプカプカ波に体をあずけるのが
なにより なにより 心地いい

仰向けのまま方向転換して
浜に向かってこんどは背泳ぎの平泳ぎ
金色の光が目の中を浸して
流れる水が首の後ろをなでていくあいだ
ときおりぐーんと手足を好き勝手に伸ばしてみたりするのが
なにより なにより 自由だ

陸上生活に慣じんできた歴史が長いから
いつも思い出すのに少し時間がかかるけど
思い出せたときの たしかなよろこびは
れっきとした証拠だ

いくつもの層が重なり合ってできている自分
現れては消え
思い出しては忘れるのも
大事にしてみたり
うやむやにしてみたりするのも
みんな 自然で
みんな 自由だ
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+ + +

<砂の虹>

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昨日 砂浜に虹がかかったのを見た

あかく染まる夕空の下
波打ち際に
赤から黄色 黄緑 水色 青 紫と
あわい光の帯が伸びた

浜での夕暮れどきは
いつもいつも 違っていて
いつもいつも マジカル

こんなにきれいなものは見たことがないなー
と いつもおもう

海の中の生きもののみんな
水の粒子のみんな
空 砂つぶ 風 まわりの山々
夕日 月 一番星
居心地いい海の家を営んでくださってるみなさん
一緒に今日を過ごしてくれただいすきなひとに
ありがとう と
こころのなかでいいました

なににもかえがたいことを
海はいつも 思い出させてくれます

(2018・8・17 一式海岸 (ゆ)ちゃんと)

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2018.08.11

海と音楽

Img_5104 新月になりました。

短い夏休みはあっという間に終わってしまったけれど、その次に来た仕事を超特急で(別名”徹夜”で)やっつけて、金曜夕方から週末の自由時間を確保しました。うれしい。。。

で、金曜夕方から、相方が楽しみにしていた念願の海へ。今年はまだ1度しかこの浜へ泳ぎに行けてなくて、その日は朝から行って夕方に帰ってきたので、こんどは夕日をゆっくり眺めたいーとおもっていました。(午前中の海はまた格別なんだうけど。。写真はこないだ行ったときの、いやにおしゃれに撮れて笑えたランチと、昔ながらの海の家で借りた黄色いパラソル)。Img_5017_2Img_5022

今回は、台風一過+大潮で、波はざぶんざぶん。波打ち際で「洗濯機の中の洋服ごっこ」ができる日和でした。

でもあおむけに波間に浮かぶ「ウキウキ遊び」もやっぱりやりたくて、波のセットがおわった一瞬にちょっとだけ、無理やりあおむけに浮いてみたりしていました。3秒くらいで次の波をざぶーんとかぶるのだけど。。。でもそれはそれで楽しい! 

3かきくらいだけ(?)平泳ぎもできました。夕暮れ前の、かたむいた太陽の光が水面にキラキラするのに向かって平泳ぎするのが、いつもだいすきです。波がざぶんざぶんでなかったらゆっくり泳げるんだけどなーと思いつつ。徹夜明けなので、無理しないように気をつけました。

Img_5294 ひとしきり遊んで、海の家でお茶を飲んで、日記を書きました。そうこうしているうちに夕日がぐんぐん落ちていって。

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暗くなるころ、ピーター・バラカンさんの生DJが始まりました。

この海の家で今日やるとは知らずに来たのだけど、なんだか最近ピーターさんと遭遇率が高いような気がしたので(こないだホットハウスフラワーズのクアトロのライブでも、1メートル左前方にいらしたのを見かけたし、6月に帯広に行ったときたまたま泊まったホテルヌプカでも、ピーターさんはなにかイベントをされてたらしかって)、聴いてくことにしました。

そしたらこれが、かなりよかった。。。音響もよくなってた。前はひょうたんスピーカーをたくさんぶらさげてたけれど、今年は屋根の2か所にざるが据え付けられていて、その中にいいスピーカーが仕込んであるらしかった。ピーターさんの選曲が、かなりよくて、アフリカのミュージシャンの曲もたくさんかけてくれて、相方も喜んでいました。私はR+R=NOWの曲が気に入って。もっと聞きたいと思って家に帰ってから検索したら、今年デビューアルバムが出たばかりのユニットだった。

「R+R とは‘Reflect’(じっくり考える、自分と向き合うなどの意味)と ‘Respond’(応える、対応するなどの意味)」なんだそう。かつてニーナ・シモンが政治的発言をして批判を受けて、黙って歌っていれば良いのにと言われたときに「私は、時代と向き合うことがアーティストの使命だと思っている」と答えたという、その言葉に端を発しているネーミングとのことで、「自分の生きている時代と向き合い、応じると、その時代と深く関わる事になる。だから’R’ + ‘R’ = ‘NOW’(現在:いま)なんだ」(ロバート・グラスパー談)。ここのページから音源もちょっと聞けます。相当いい。どれもその場で作曲して一発録りしたらしい。。!

Rrnow 「バンドメンバー全員が6フィート(約183cm)を超える黒人男性で、決して裕福な家庭で育ったわけじゃない。だから、あの部屋に集まって音楽を作れるようになるまで、それぞれがそれなりの地獄を見てきたし、戦って、鎧を身にまとってやってきた。現実を曲げてでも、今の地位まで上り詰めてきた。皆、その状況を理解しているから、集まれた時は、とにかくお祝いだ!という気分なんだよ」(クリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアー談)。

サッカーのベルギー代表チームのフォワード、ロメル・ルカク選手のことと重なった。。。

久しぶりにニーナ・シモンのアルバム出してきて聴きたくなったけど、処分してないはずなのに、見つからない。。。

***

ともだちが、海には「エキス」がある、というようなことを言っていて、おもしろいなーそうかなーと思ったのだけど、海にちょっとでも身を浸すと、確かに元気が出るような気がします。徹夜明けだったのに、不思議とぜんぜん元気で、なんだかいい気分でした。

波打ち際に立ってみると、新月前夜の夜空は星がいつもよりたくさん見えた。帰り際、少しだけ砂の上にあおむけにねっころがって星を眺めました。

新月の時期は波は高くなっちゃうけど、月がないぶん星はたくさん見えるので。。暑いとき、夕日と星を見て涼しい風に吹かれに行くのはおすすめです。。

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2018.01.29

雪と、めぐり

Img_3466 去年の真夏の暑いときに、こんなの書いてたのが出てきた。。。

* * *

寝る前のおふとんの中で、中谷宇吉郎さんの、昭和11年頃の随筆集を楽しく読んでいる、今回の水星逆行な日々です。雪の研究のお話とか、外の雪の中にものを置いておいたらまず濡れることはない(水分は凍るから)十勝岳でのお話とか、蒸し暑いときに読むと涼しくていいです。

なかでも十勝岳の山林監視人であるO老人のお話が、とても興味深かった。12月から2月いっぱいまで、犬の毛皮と塩一升と猟銃だけを身につけて、十勝連峰から日高山脈までを1人で歩き回った、というお話。

「この老人の話をきくと零下二十度の雪の中で二カ月も寝ることが何でもないことのようなのである」「雪の中で寝るのに一番大切なことはたき火をすることであるそうである」「鋸と手斧とマッチが食料品と同様に雪の山では必需品であることを実例で教えてくれたのはこの老人であった」

昭和初期の、日本の北の地にも、やっぱりブッシュクラフターがいたんだなああ。

* * *

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で、この冬はほんとうに、南関東のうちらへんでも雪がたくさん積もったし、このところ寒さがキビシイです。ヤシの木と雪のツーショット撮った。なんか不思議な景色。

寒いときは家の中であったかくしてるのも楽しいけど、思い切って外に出ちゃうのもいい、と身をもって学びました。

雪の翌朝、雪だるまつくった。Img_3458_7

その数日後は箱根へ、いつもの温泉へ入りに行ってから、足をのばして元箱根港へバスで出て。箱根神社のほうへ行くみちに入って、湖畔をずうーっと箱根園まで、歩いてみました。

Img_3519_2 Img_3522_2 雪だらけ。下り坂は滑りそうになるし、かなり、リアル・フィールドアスレチック状態でした。たのしかった!

箱根園って初めて行きました。そこからロープウェーで駒ケ岳山頂へ。

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山頂はひろびろとしていて、相模湾も芦ノ湖も丹沢のほうも、富士山も見渡せて、雪も積もっていて、とっても爽快でした。つもった雪が風にふかれた跡もきれいだったし、木の枝につもった雪が風に吹かれた形で氷柱になってたのも、きれいでした。フェンスの柵にもおんなじようになってて、とりはずしたら、まっすぐきれいな剣みたいだった。

Img_3535 山頂の神社(箱根神社の元宮)へお参りして。かつてここにスケートリンクがあったという、昔の写真を見てたまげて。

Img_3529_2 それからロープウェーでまた降りてきたんだけれど、われわれと、もひとり、ここにしょっちゅう仕事でお客さんを連れてきているというバスガイドさん(お客さんたちより一足先に降りていくところだった)と、3人だけの貸し切りになったゴンドラ内で、「長く来てるけど、こんなに晴れ渡って遠くまで見はるかせたことは、初めて。いつも山頂あたりはガスが立ち込めてぜんぜん見えないんですよ、お客さんたち、もってますよー」と聞かされて、びっくり。ほんとにうつくしかったです。生き返る。

* * *

土星先生に弟子入りしている現在、なにか、しんとしている自分を見ています。

雪の野を見ているみたい。

Img_3583 まわりはいつもにぎやかだけど、今はノイズをなるべく減らして、静かにしてたい気持ちです。この雪の下から、なにかまた芽がでてきそうな気配が、すこし。

(写真の絵は、坂口恭平さんの絵。こないだまでまた東京で個展「アポロン」を開いてくださっていて、またお邪魔させていただいて。買わなくても写真撮っていいよーとおっしゃっていただいて、撮ってきた中の1枚。しみじみすき)。

伸びることと、めぐること。そのバランスだなーと。。ずっと伸び続けてなくていいし、ゆっくりめぐっていてもいいんだなって、おかげさまで思えています。

土星先生、植物先生、季節先生、みんなすき。




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2017.11.10

グリーンウッドワーク練習会@中津川とミルクスツールプロジェクト(1)

23283311_10212868466160504_99142318 23405920_10212889371243118_504471_2今月初めは、グリーンウッドワーク指導者養成講座でご一緒した(は)さんの高原のおうちで、GWW練習会に参加させていただいてきました。養成講座のお仲間のみなさんと再会して、木削り三昧でした :)

Img_2732_2 泊まりがけでの練習会は、おいしいものいただき三昧の日々でもありました。(は)さんが採ってこられたクリフウセンダケでスキヤキとか。。(は)さんが採ってこれらたマツタケ(!)で土瓶蒸しとか!自家製五平餅に手作りピザ。。(は)さんの奥さま(よ)さんはお料理上手で、盛り付けも美しくて、毎回歓声が上がる食卓でした。お外で食べた朝食は、空気もおいしくて。。しあわせでした。

(は)さんの高原のおうちは、この高原のひのきを骨組みにした木のおうち。(は)さんご自身が大方を手作りされたおうちです。なんと丸太の樹皮を手道具でむいて、製材するところから。。!

そして去年秋にはロケットストーブヒーターも手作りされていて、家じゅうがぽかぽかでした。あんなにあったかいとは思わなかった。。上の階で寝ていると暑いくらい。一晩寝て、朝起きて、まだ火入れをしてないときでも、ストーブからの温風が通るようになっているベンチの上はまだぽかぽか。煉瓦の保温性、はんぱないです。火が見えるように特別にデザインした扉もすてきでした(写真とりそびれたの、くやまれる。。)。

あんな大きなおうちでなくても、小さな小屋でいいから、つくってみたいなあ、そしてロケットストーブヒーターでぽかぽかの冬を過ごしてみたいなあ、と夢想してしまいます。

23232129_10212868467840546_53131849森もちょうどきれいに色づいていて、月もまんまるでした。

材にする木もよりどりみどり。大きなさくらの木から、板材を木取りまでしていただきました。とにかく贅沢すぎて、あわわわわ、な時間  (は)さん、(よ)さん、ほんとうにありがとうございました♡

グリーンウッドワークのお仲間と再会できると、いつもうれしい。。そして今回は新しく6歳の友だちができたこともうれしかった。。木削り仲間として、これからもつながりあっていけたらなあと思ってます。

23213432_10212889465805482_775243_223201927_10212868424959474_136722_2 Img_2760_2今回、スプーンやお皿(深い盛り皿や大皿も!)、お盆、木槌などの木工品から季節の植物のリースまで、みなさんそれぞれ好きなものをつくっていて、楽しかった。。!

23270583_10212889371283119_21876597わたしはまたしても恒例の筋肉痛になりつつ、さくらの板とひのきの脚のミルクスツールをつくりはじめました。

ひのきの脚は3本のうち1本は、6歳の(れ)くんが下削りをしてくれました。

いつもながら作業のおそいわたしが、まにあうかなーどうかなーと焦りつつ1本目2本目のひのきの枝の樹皮をはぐように削っていたら、彼もいつのまにか、別の削り馬で同じように樹皮を銑ではいでいたらしく、それをおもむろにわたしのところに持ってきて、ひとこと、「あげる」と、わたしの削り馬のわきに置いていってくれました。

助けてくれ方が、さりげなくて、かっこいいんですけど!と思いました :)

Img_2776おかげさまで、座面と脚3本のパーツをつくるところまでは、(は)さんのおうちでなんとか終えられました。

今回相方も風邪気味だったのを押して一緒に来てくれたのだけど、しんどかったみたいでひたすら休む日々になってしまって、ロケットストーブヒーターのベンチの上でよく寝ていました。。。

23283166_10214483000687730_15776190でも最終日には少し元気が出たみたいで、楽しそうにスプーンを削っていました。さじフェスのときに削り始めたスプーンの仕上げ削り。ぼくとつで、ほんとにかわいいスプーン。相方のつくるものにある、こういう味わいが、わたしはたまらなく好きです。

* * *

ミルクスツールのプランとしては、今回わりと乾燥したひのきの枝を(は)さんがくださったので、これを削った脚3本はこのままからからに乾かして。座面のほうは厚さ5センチ弱の生木のソメイヨシノの板なので、これを割れないようにゆっくりめに半乾きにさせて。そして穴を開けて、脚を木殺しして挿し、あとは座面が乾く過程でジョイントがしめつけられるのにまかせる、というものです。

脚を座面上まで貫通させてくさびを打つべきか、貫通させずにおくべきか、迷っています。あと、ホゾの断面は楕円になっているほうがいいのか、真円でもいいのか。。。

こういう生木の板に、乾燥した脚を組んで、スツール的なものをつくるやり方は、”slab and stick”と呼ばれるタイプ。これまで自分は座面を編むタイプのスツールしかつくったことがなくて(こちらは”post and rail”と呼ばれるらしい)、板材の座面に初挑戦です。

板の座面のスツール、つくってみたい、とあこがれてはいたのです。先日、さじフェスでお会いしたスウェーデンの木工家、ヨゲさんのスツールに興味が湧いていたのもあります。

ヨゲさんからは、さじフェスのときはスプーンづくりを教わったのだけど、彼はベンチやスツールなど大きなものも、やはり伝統工法でつくっておられていて。削り飾りや色付けもポップで楽しくて、そういうところへ目が行きがちなのだけど、その工法に地味に興味を惹かれていました(ヨゲさんの作品の数々、こちらで見られます。とってもすてきなものばかりです!)

さじフェスのあいだ、一瞬お話するチャンスがあったので、そのときに、ヨゲさんのつくられたハート型の座面のスツールについて、質問しました。工房でできたばかりのそのスツールを見た、当時9歳の娘さんとのやりとりのおかげで、ひとつ扉が開いて、ヨゲさんがもっと自由に独創的にものづくりにとりくむようになった、という特別なスツールです。

そのとき聞きたかったのは、そのスツールの座面がハート型になったきっかけが、その座面の材の特質にあったのかどうか、ということでした。材によってデザインが決まる、だから同じものは何ひとつない、ということを第一におっしゃっていたから、そういうことなのかなあ、と。でも聞いてみたら、答えはノーで、ハート型のデザインは自分で考えてドローイングを引いた、とのことでした。

「あ、そうだったのか」と拍子抜けしたわたしに、ヨゲさんが言ったのが、「でもあのスツールで特別なのは、座面というより、むしろ脚なんだよ。スライドでは脚は写ってなかったっけかな」。思い返すと、確かに脚はほとんど写ってなかったのだけど、ほかのスツールや椅子の作品スライドでは、全体が写っていて、それらの脚はどれも見事に有機的でユーモラスなカーブを描いていて、しかも脚には貫(横棒のパーツ)がない、という特徴が共通していました。

ヨゲさんは「あれはshrink-fit joint(※わたしの記憶が正しければ、こういう言い方だったと思うんだけど)で組んであるんだよ、簡単に見えるけど、すごく難しいんだ」とおっしゃいました。そして脚には、枝材を使っている、と。

枝材ということは、つまり芯持ち材??と後で考えて、がぜん興味が湧いてきました。もとから外広がりにカーブしている枝を、芯持ち材のまま脚にする、というのはすごく魅力的。と同時に難しさもあるだろうな、と。。。そしてそれを、shrink-fit(材が乾燥するときの収縮を利用してジョイントを締める方法)で座面と組むということは、座面が生木(半ナマ?)のときに乾いた脚を入れるはず。。。「ぼくは必ずクサビを打つよ」ともおっしゃってもいたっけ。

そういうスツールのつくり方の情報を、ネットで少し、リサーチしてみました。だれかが書いてるはず、と思ったのだけど、調べ方がわるいのか、なかなか見つからず。。

Img_2798 はっきりこれだ、とわかるようなのは2件だけ見つかりました。1つは1962年に出版された『Popular Science』という本の中の記述。「昔の家具職人は、糊を使うかわりに生木と乾燥材を組み合わせて使いました。生木の板に乾燥材の脚を挿すと、板が乾燥して縮むとき、脚がしっかりと固定されるのです」とありました。

もう1つは、生木で素朴なベンチをつくる、そのつくり方を説明した雑誌記事『Rustic Garden Bench』。シェーカーボックスをつくっておられる、John Wilsonさんという方の書かれたもの。

グリーンウッドワーカーのワークショップに行けば、実地で教えてもらえそうだなーと思うし、ヨゲさんに突撃で質問してもいいのかなーとも思ったけれど、今回のミルクスツールは、せっかく生木の板材をいただけたことだし、サイズもうんと小さいし、ミニミニプロジェクトとして、昔々の生木の木工のやり方を、手さぐりで実験してみようと思い立ちました。

John Wilsonさんの記事では、穴を座面の上まで貫通させてクサビをうつやり方と、貫通させずにおくやり方と、両方が紹介されていました。後者は「正確なホゾが必要」とあって、その場合は、真円のホゾを、それとぴったり同じ径のホゾ穴に挿す、ということでした。

今回、ひのきの枝(芯持ち材)の自然なカーブをそのまま生かして脚を削って、テノンカッターでホゾをつけたのだけど、ホゾの正確さはやや微妙。。ホゾの断面は14~14.5mmくらいの円になっています。手元には14mmのドリルがあるので、半乾きの座面にφ14mmの穴を、貫通させずに開けて、下から脚のホゾをそのまま挿してみて、様子を見てみようかなと思っています。

座面はかなり水分があるので、まず2週間、リビングで半乾きにさせてみることにしました。

小さい小さいミルクスツールです、もし失敗しても、学びだと思えばよし。。楽しく実験してみようと思っています。

23315942_10212882686796011_16411066 とりあえず、脚の角度は、ダミーの段ボール箱を座面に見立てて決めました。

このあと、この段ボールの穴をガイドに座面に穴開け位置を墨付けして、アングルガイドで角度をみながら斜めに手回しドリルで穴を開ける。。。分厚い板に決まった角度でまっすぐに穴を開けるのが。。たぶん最大のチャレンジです。どきどき。

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2017.09.20

音楽と

このあいだの激しい雨で、大家さんとシェアしてる中庭側のジャスミンが、ばさりと倒れてしまった。3号ポットに入ったひょろんとした苗を何年か前に取り寄せて、端のほうに植えたら、はじめはゆっくり、何年かしたらぐんぐん大きくなって、窓を覆って屋根にさしかかるように伸びてくれていたのに、倒れてしまって、気の毒でした。

でも幹が折れたわけではないから、そこまでダメージはない、と思いたい。。。だいぶ切って、軽くしてから、軒先に紐でつないで起こしてあげてみた。

Img_2103 つぼみがたくさんついてた枝先は、束にして活けて、あとは初めてつくってみたスワッグなるものにも少し加わってもらいました。ジャスミン以外は、「猫の額庭」のみなさん(センダン、ヒメヒマワリ、ローズマリー、ミズヒキ、ヒバみたいな木、アスパラガス、アイビー)と、前にいただいた花束に入ってた白のスターチス(ドライにしといたもの)。

Img_2110_2 朝起きてすぐ、花屋さんごっこみたいにして楽しくつくりました。

Img_2106初めてなので、みんながドライになってくとどうなるのか、日持ちはどうなのか、ぜんぜんわからないけど。。(ゆ)ちゃんのお誕生日ライブのお祝いに、譜面台と壁に下げさせてもらいました。けどなかなか楽しげな感じになってよろこんでもらえて、うれしかった。。 :)

21752071_197302397478063_38776172_2   Photo_3 会場の写真とりそびれてたのだけど、(や)ちゃんがすてきな写真撮ってくださっていました。載せてもいいとのことだったので、載せさせてもらいました♡ありがとう。

うたをきく体験が重なってうれしいこの頃です。

+ + +

<音楽と>

うたをきくときはなるべくからっぽでいたい
絵を見るときも

ややこしいものぜんぶ置き去りにして、呆けて
ただ出会う

ってなったときの至福の体験は

透明のミルフィーユみたいになって
からだの中に残ってる

これが礼儀だと思うのに
勇気が足りないことも多くていけないな
この勇気は出さなくちゃだよ。。。

振り切っていかなくちゃだよなあ。。

と思いつつ、ちゅうとはんぱにからっぽだって
それだっていいんだな、
受け取れるものを受け取って
それでいいんだ。。うん

自分にやさしく
よくばりとないものねだりはやんわりいなして
ほんわかと、いまここにいよう

このあいだの坂口恭平さん&寺尾紗穂さんライブ
坂口さんが即興でうたってくださったうたと
おふたりによる坂口さんの曲「霧」と
アントニオ・カルロス・ジョビンさんの曲「三月の水」が
今も心に残ってる

空中でなにかがはじけるような手触りとかも

時空のちょっとゆがんだすきまに
一瞬すべりこむような感じとかも。。。

築地の市場からすぐの、路地の奥、

2階に上がったら、
ちょっと教会みたいな白い空間でおどろいた

西岡恭蔵さんの曲「グローリーハレルヤ」のときは
涙が出てしかたなかった。。

空気の粒子がだんだんそろっていくようだったな
うたがうたわれていくうちに

しあわせでした

そしておとつい夜の(ゆ)ちゃんのライブは
山あいの虫たちの合唱がずっと聞えていて
そのなかにうたとギターが紛れ込むように響いて

風景みたいだったな

部屋の中にいるのに壁がないみたいで
(ゆ)ちゃんのうたごえはずっと風の音みたいで

(じゅ)ちゃんのうたも笛も
(あ)さんのギターも

風景にすべりこんでいくようで

やさしさがあって休まった。。

壁がまるでないみたいだった小さい食堂の
しっくいの白い壁と木の床と古いガラス窓とは
なんというかエーテル的に(?)
みんなをすっぽり包んでくれていた感じがしたな

あの場にあった、安心感みたいな、あの感じは
店主(じゅ)ちゃんの、
居合わせていたみなさんの、
うたいかなでてくださった3人の、
ぜんぶが合わさってのことだったのかな

みんなにありがとう

音楽にありがとう

(9月15日、築地パレットクラブ/9月18日、ふたこぶ食堂)

+ + +

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2017.09.11

耳を開いて眠る

忘れないうちに、書いておきたかった。。

Img_2055 こないだ(み)ちゃんに誘われて初めて行ったキャンプ場は、国定公園の中にあって、ちいさな湖とその向こうに山々があって、湖畔は草がきれいに刈ってあってふかふか。少し行くと森の中を歩ける遊歩道も整備してありました(写真は対岸から私たちのサイトを見たところ)。

大きなネムの木の下にテントを張らせてもらって、タープはネムの木と、反対側のモミ(?)の木に綱を渡して張らせてもらいました。

あたりに車道がないので、とても静かでした。車の音は、このキャンプ場にやってきた車からだけ。車は駐車場までしか入れなくて、サイトにはねこやリヤカーで荷物を運ぶようになっていて、それもよかった。

こんなに静かで車の音のしないキャンプ場は、大島のトウシキキャンプ場以来で、本土では初めてだったかも。

Img_2039 金曜夕方について、焚き火をゆっくりして、ごはんを食べて、ほぼまんまるのお月さんが空に上がった頃に、早めに寝袋に入りました。

眠りに落ちてから、ずうっと、あたりの鳥や虫たちの声や、風の音、木々の葉っぱがゆれる音、葉っぱが落ちる音が、ほんとうにほんとうに鮮明に聞こえていました。

でも、ずうっと聞こえていたってことは、寝てたんじゃなくて起きてたってことじゃないか?と、翌朝起き出してからハッとした。。。でも感覚としては、眠っていた感覚でした。すごく深くリラックスしていて、これはもう自分は眠っているのに間違いない、という感触なのに、まわりの音はずうっと聞いていた、という。。。

なんだか不思議な体験でした。とても、満たされていました。

明け方になって、テントの外に出たらタープの端に小鳥がとまっていて、そのむこうに猫がいて、ちょうど小鳥の背中の上に猫がのっているかのような構図になっていたので、おもしろくなって写真をぱちりと撮った、という夢をみました。これはあきらかに夢だった。小鳥がいやにアニメみたいな、イラストみたいな、輪郭をふちどりされた鳥だったから。

で、夢を見た、ということは、明け方は確実に眠ってたんだな、と思いました。すごくリラックスしていたとはいえ、徹夜したわけじゃなさそうで、よかった、と。

ふだん、たまに寝付けないときは「眠れないな」という自覚をもつし、なんとか寝ようとしたりいろいろすったもんだするのだけれど、そういったすったもんだは皆無だったし、だいたい「眠れないな」という意識もみじんもなくて、すっかり安らいでいました。眠っているのと同じくらい。。 そして同時にいろんなふしぎな鳥の声とか虫の声をじいっと聞いてもいたのです。

すてきな夜でした。

+ + +

翌朝はみんなより早起きして火を起こしてお湯を沸かしました。蚊がいたので、焚き火を蚊よけに。。

そのうち起きてきた相方は、ギターでアイルランドの古い曲をつまびいて。そしたら小鳥たちがにぎやかに歌いながら上空に集ってきて、そのうち一羽のハクセキレイはわたしたちのテントの脇のモミ(?)の木のてっぺんに止まった。

Img_2049_3 モミの木のてっぺんに止まる小鳥の姿って、まるで絵本に出てくるようにかわいかったです。ハクセキレイは声もかわいくて、たまりません。大好き。

湖は風の通り道に応じて水面に鑿で彫ったような波紋をつくっていて、その波紋が立っているところとそうでないところの分布が、やっぱり絵に描いたようにきれいな曲線で分かれていました。

鴨が朝から泳いでいたので、手を振ったら、ちょっとこちらに気を向けてくれたので、おはよう、とあいさつをして、ちょっと手招きしたら、なにげにこちらへ向かって泳いできて、そのまま岸に「よっこらしょ」と上がってきたので、ちょっとおどろきました。芝の間のなにかをひとつふたつついばんで、しばしぶきっちょに歩いてから、水の中へ帰って行きました。水の中ではまたスイスイと自由な動き。。。

Img_2040_2 Img_2041Img_2044ゆっくり朝ごはんの準備をしました。焚き火で沸かしたお湯でコーヒーを淹れて。カップ状に半切りにしたピーマンをあぶって、中にうずらの生たまご、プチトマトの切ったの、ニンニクのみじん切りを入れて焼きました。

このうずら卵 in ピーマンは、去年のキャンプでやってみてからおいしさに開眼したメニュー。手で持ってパクッと食べられるところも気に入っています。シンプルで簡単で、すごくおいしいです。

あとは昨夜、おゆうはんの後、相方がナスを焚き火でじっくり焼いて、割いておいたのだけど、それをニンニクとしそとお塩とオイルで和えて茄子のペーストにしてくれました。焚き火でトーストしたバゲットにこれをのせて、いただきました。美味でした!

朝食のピーマンも茄子も、昨夜のメニューの、スパイスから作った本格ベジカレー&サラダのジャガイモもトマトもタマネギも、(み)ちゃんの自然農の畑からダイレクトにやってきてくれた恵みです。(ゆ)ちゃん(み)ちゃんのおかげで、いつもキャンプごはんは、野で食べるにしては豪華すぎるすてきごはんをいただいています。。。ありがとう。

ほんとにバババッと荷造りをして、ごはんもおやつもメニューのアイデアないままに、あるもの、目についたものを持ち寄った今回だったけど、それでもこんなに豊かな食卓を、おいしい空気とお水といっしょに楽しませてもらって、しあわせでした。

おやつには、あまってたマシュマロを持参してたのを、道中で買ったチョココーヒービスケットと組み合わせて、スモアにしてみた。これもビスケットを買った時には考えてなかったけど、焚き火のそばでひらめいて。じっくりマシュマロを炙って、ビスケット二枚でパシッと挟んだら、ビスケットのチョコ部分がマシュマロの熱でとろけて、いい感じになりました。

Img_2052 湖の回りは1周歩けるようになっていて、湖畔の木々はひのきの植樹してある地帯と、広葉樹の地帯と両方ありました。釣り人が早朝から大勢来ていたっけ。おひとり、おじさんとお話したら、「2日に1度は来てる」とおっしゃっていてびっくりした。「家にいるよりここにいたほうが、涼しいんだよ」とにっこりされてた。

ここは魚を毎年放流しているそうで、釣ったらすぐにリリースする流儀だそうでした。

前回5月に4泊キャンプ場に泊まりつつ通いの仕事をした後で、体調をがたっとくずして、それ以来、どうもキャンプと体調の崩れをつなげて記憶してしまっていたみたいだったので、今回はそれをヘルシーに切り離して、またキャンプのすてきさを思いだしたい、という希望がありました。おかげさまで、それは十分に叶いました、ほんとによかった。

それにやっぱり野に眠る喜びが、はんぱないことを、思い出せてうれしかった。

次は虫の心配のない季節に、テントなしで寝たいなあ。。前に、寝袋ひとつでお空の下で眠ったときの、あの、なににもたとえようのない安らぎを、思い返しています。

でも最近はゲリラ豪雨とかもあるから、寝袋ひとつで野で眠るのは、やばいかなー。。タープとコットで、とかがよいかしら。地面の感触が好きなので、コットはちょびっと残念なんだけど。。。

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2017.08.13

すきとおる/海あそび

断片化シリーズ。8月11日のぶん。この日は降ってきた、というより、ちょっとふり落としたみたいなふうでした。。

+ + +

<すきとおる>

Img_1843_1_2

「行きたいのはただ
野生動物の視野の中」

と書いてたら蝉の鳴く庭から
野ねこが窓を叩いた、朝

いつも闇に紛れてやってくる彼女
今日は巻いてきたらしい、過去を

陽のあたる場所を通ってきたんだねえ
アンテナの精度はあいかわらずだねえ

感心して
安心して
すきとおる絆によりかかる

書くこともなくなって、黙る……

+ + +

<海あそび>

0025_xlarge_1_2

下を向いたら見えた、水底の夢
青いソラスズメの群れ
視野を埋める、光る青、揺らぐ瑠璃に
吸い込まれる、意識の息継ぎに

仰向いて波間によりかかって
空の深さを測って

降ってくる日差しと
まぶたのひさしを
絶妙にバランスさせて
視野に光を氾濫させて

波の上下動を感知しつつ
おおいなる平安に沈む…~~…

少ししたらまた

下向いてユラユラ
仰向いてプカプカ

0027_xlarge_1_2

(8月10日、胴網海岸、(ゆ)ちゃん、(み)ちゃんと)

+ + +

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2017.07.23

獅子座新月間際のわわわ

幸せすぎた昨日でした。。。

久しぶりに髪を切りに行きました。切っていただいてるあいだ、頭をかすめていたのは、きつかった2カ月間のこと。終わって「これだけ切りましたよ」と見せていただいた髪の束を見て、ああ、よかった、と思った。髪の中を風が通るさわやかさを体感しつつ歩きました。

そのあと寄った本屋さんで、以前から目にするたびに惹かれていたdesignsix Londonのピアスを見かけて。毎回、見かけるとときめくけど、必要ないし、いずれ用なしにしてしまうだろうし、地球にとってよくないしと結論していたのに、今回はホワイトのNovaピアスを衝動買い。その場でつけました。ピアスはここ20年近くは冠婚葬祭のときにしかつけることがなくなってたのに。どうしたこと。。。

そして夕方、相方と合流して坂口恭平さんの個展Nest of Thinkへ。もうこれがとんでもなく、幸せなひとときでした。

0003_xlarge 広いローテーブルに小さな立体作品が朴訥に並んでいる写真を、坂口さんのタイムラインで見て、あ、この立体たちの後ろ姿がきっとやばい、見たい、と思って行ったんだけど、わたしの想像を軽やかに上回り、あらゆる意味で「個展」の概念をふっとばす個展でした。

立体作品のほかに、窓や壁に数点貼ってあったけれど、そのほかに500枚の絵がそこここに束にして置いてあって、各自手袋をはめてその束を見ていくスタイル!

しかもその間、坂口さんはBGMと称して、ギターを弾いて歌ってくださっていて!そのうたが、BGMなんてとんでもないほどのマジうたで。

「休憩しまーす」とうたを中断すると、ご自身の選曲の音楽をスピーカーから結構な音量で流してくださって!

ずっと坂口さんがその場にいて、あれこれ話したり歌ったりして、曲かけたりしてくれていて、もう彼の存在感そのものを含むあの場全体を、どうぞ、してもらってる感じでした。

* *これから行こうかなって思ってる方は以下は読まずにどうぞ!30日までやってます* *

ビジュアルと音楽と立体とか、作家と作品とか、作家とオーディエンスとか、アートと生活とか、ぜんぜん切り分けらてなかった。

0013_xlarge大音量で音楽が流れてる個展、作家さんがライブしてくれてる中で原画の束をひたすら繰っていく個展って、体験したことないよ。。!

1枚1枚を手に取っているときに、「片づけの魔法」のこんまりさんが、本の整理をするときにとにかく本棚から全部出して、1冊1冊を(読まずに)手に取って、ときめくかどうかをチェックすること、と提唱してたこと、思い出しました。触角が感知することの正確さ。。

坂口さんは新しく誰かが入ってくると、元気に「いらっしゃいませ!」と言い、今日のクローズの時間が迫ってくると「そろそろタイムセールですよ!好きなの選んじゃって、もう言い値でいいよ、商談しましょう」と。まるで市場のようでした。。。

ああ、生ものを売っている、という意味では、まさしく市場だったのだなあ、とも思う。

作品はわたしには手の届かないお値段だったから、見るだけと思っていました(タダでこんなにいいおもいをしていいのかなとも思ったけど)。言い値でいいよ、と言われて、え、もしかして、とも思い始たけど、惹かれるもの、心がぴぴぴんと反応するものが、いっぱいありすぎて、選ぶとかとうていできなくて、結局どうしたらいいかわからなくなって終了。。。

音楽を聴きながら1点1点を見させていただいている時間は、ちょっとした変性意識状態だったもよう。後でおゆうはんを食べてたときに、通常の意識まで降りてきて、「あー、わたし緊張してたんだなー」と気付いたけど、正確にいうと、興奮していたもよう。

絵のかわりに、相方と一緒に画集を買いました。そしたらサインをしてくださって。そのときに、相方がほしがって、でも迷って決められなかった2枚の作品のモチーフを、ペンでさらりと描き添えてくださいました。やさしい。。

帰りの電車と、家についてからおふとんの中で、画集をめくっていました。この多産なワールド。。

坂口さんのドローイングを初めて見たとき、うわあ、過剰だー、とその過剰さに圧倒されたし惹かれました。今回の個展では、500枚の作品にはわりと余白がいっぱいあるものが多くて、予想外だったのだけど、これだけ余白を含んだものを描くと、今度は作品の点数が過剰になるんだなあ。。。彼はほんとうに、出し惜しみしない。。。というか惜しむどころか、出し切らないとバランスをとれないんだろうと想像する。

スタイルも画材も、モチーフも、自由で多彩で。坂口さんの歌声にそっくりだ、と思ったものもあった(当然か)。

芸術が絵画、彫刻、音楽、演劇、舞踊、などと分化する前の、大元のまとまりのエネルギーと一緒にいる人。自由度がめちゃくちゃ高い人。好きすぎる。同時代に生きていられてよかったって思う。

* * *

個展のタイトルはNest of Thinkだったけど、アレクサンダーテクニークでthinkする、ということについてこのとこぼんやり思ってたことが、なんだかばーんと示されたようでもありました。こういうthinkっていうか、これがthinkだ、ということ。そうだそうだ、と。

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2017.07.10

運び運ばれていく旅:用の美・用のない美

Img_1666 突然の旅シリーズ、最後は、ついこないだまで行っていた鹿児島で、こちらは一件大事な用事があって行きました。急なことだったので、宿の住所と用事の場所の住所だけとりあえず把握して出かけけれど、なんかスルスルと運び(運ばれ?)ました。沖縄と北海道の旅で、だいぶんコントロールしすぎを手放して流れに身を任せることを覚えられたのかもです。

鹿児島空港について、例のごとく案内所のお姉さんに市内への行き方を聞こうと思ったら、係の女性ふたりはなんか雅やかにお茶をいれてカウンターの隅のお客さんに出していて、はて?と思ってよく見たらそこは霧島市のPRカウンターでした。で、ほんとの案内所は~?と数歩あるいたら、外への出口手前に鹿児島市内行きのバスの出発案内の小さな電光掲示板があって、そこに今夜の宿のHPに「最寄り」だと書いてあった「高速船ターミナル」に行くバスがあと5分で出る、とペカペカしていて。バスの券をどこで買うのか、わからんくて、とりあえず乗り場に行ってみたら、荷物係のお兄さんが「そこで買えば乗れすよ」とお外にある自動券売機を教えてくれて。言われた値段のを買って乗りました。

高速船ターミナル行きは本数が少なかったらしく、これを逃すと2時間くらい後になったらしかったから、助かりました。

Img_1513 バスを降りたら、そこは港でした。目の前にどーんと桜島が。でも桜島に行くことは今回はないかな、と思いつつ、椰子の葉が風でサラサラ言う音を、久しぶりに聞きました。港の脇の公園では、芝に座っておしゃべりするひとや、虫とり網で蝶を追う女の子。なんだか懐かしい光景でした。

宿までは歩いてほんの数分だったけど、歩いてるうちに汗だくになっちゃったので、宿のHPで紹介されてた近所の銭湯(鹿児島市内の銭湯はみんな温泉らしい)に行ってさっぱりしようと思ったけれど、名前だけ覚えてて、場所がわからず。宿には近隣のマップとかも見当たらず。宿の人もひっこんじゃっていて、うーん、どうしよう、と思ったら、宿泊者の男性がいらして、こんにちはとあいさつしたら、その人はたまたまこちらが地元という人で、「今日はどうするんですか?」と聞かれて温泉行きたいんですといったら、「ここは温泉の土地だからね、いっぱいありますよう」と。

で、泉質さえよければ、と言ったら、それなら桜島にフェリーで渡ってすぐの国民宿舎、あそこは泉質なら確実です、と。桜島にフェリーでってそんなに気軽に行けるものなの?と思ったけれど「地元の人間はふつうに行き来してますよ、24時間運航してるんですよ」と。プチたまげて、ならば行ってみようかな、と思いました。

Img_1537 Img_1533Img_1535フェリー乗り場まで歩けるけれど、暑いから自転車がいいですね、とその人に言われたので、言われたとおり、宿の自転車を借りて、自転車ごとフェリーに乗り込みました。こんなの初めてやったので、どきどきしました。ほかのみなさんは車か徒歩で、自転車はわたしだけ。。。車の列と一緒に乗り降りしたのでどきどきした。

Img_1538 そして言われたとおり、フェリーを降りてすぐのところにある国民宿舎の日帰り温泉へ。めちゃ鉄っぽいお湯で、地元の方が大勢いらしていて、「ここのお湯につかれば鉄瓶で沸かしたお湯を飲むのといっしょよ」と教えてくれました。そして「こっから車で10分行ったとこの白浜温泉もいいお湯だよー」と。「自転車でも行けますか?」と聞いたら「うん、行けるよ」と言われたので、次はそこ行ってみようと思いました。

* * *

翌朝は用事のある場所へ。待ち時間があってひまだったので、そこのロビーにあった雑誌やらの読み物の中から、木造住宅メーカーの冊子を出して見ていました。なんとなく手にとったけど、すごく快適そうなおうちばかり紹介されていて。よく見ると、夏至・冬至の日光の軌道を調べたうえで、冬の窓からの日射量を最大限にすべく「道路に対して斜めに」建てたり、窓際に落葉樹を植えて夏には日陰ができるようにしたり、壁の中に自然の空気を循環させて暖をとったり涼を実現するシステムを使っていて(10年前くらいに読んで感動した『まちに森をつくって住む』という本の中に、この空気循環システムも紹介されていたのを思い出しました)。で、その冊子の末尾に、この住宅メーカー、シンケンさんが鹿児島の中心街に北欧雑貨のカフェを運営していて、ランチを出しているとあったので、用事が終わったあと、行くあてもなかったので、そこへランチを食べに行ってみることにしました。マルヤガーデンズというビルの7F。

で、エスカレーターで上がっていくと、なにやら選び抜かれた感じの、とても佇まいの美しい生活品が並ぶお店があって、そこで鹿児島に伝わる民芸品などのコーナーも設けてあって、楽しくながめていたら、お店のお兄さんが声をかけてくれて、鹿児島に伝わる縁起物「おっのこんぼ」について教えてくれました。おきあがりこぼしです。家族の人数プラス1人分を、台所に並べておくといいそう。そして一度並べたら、ずうっと並べておいていいとのことだった。今でもお年寄りのお宅にいくと、まっくろになったおっのこんぼが台所に並んでいたりするんですよ、とのこと。

このお店には、今回もしかして行けたら行きたいとおもっていた、知的障がいのある方の支援施設、しょうぶ学園のみなさんによる手仕事の品々も並んでいて、うれしかった。

お店の名前を良く見たら、D&Departmentでした。関東でも見かけたことがある気がして、帰宅してからサイトをみたら「47都道府県に1カ所づつ広がる、食を含めた”その土地の個性を感じ伝え続ける仕組み”として現在国内8店舗が活動中」とあった。いい仕事しているなーと思いました。

Img_1554 で、D&Departmentのフロアからさらに7Fまで上がって行くと、シンケンさんのやってる雑貨カフェはこれかな?という場所がありました。緑いっぱいのルーフテラスもあって、ここでは養蜂もしていると書いてあった。そしてなんとミニシアター系映画館もありました。映画のラインナップをみたら、ちょっと気になる作品もあったけど、鹿児島まで来て映画でもないよね、とそのときは思った。

で、おいしくランチをいただいて。それから今日も暑くて汗だくだったので、またお風呂に行くことにしました。市内には温泉の銭湯が星の数ほどあるのだけど、宿のHPで名前だけ紹介されていたお風呂、湯乃山温泉の場所をネットでしらべて、街めぐりバスに乗って行きました。ここはおじさんが個人的に(?)経営されているような感じのこじんまりとしたお風呂。街からすぐなのに、別天地でした。

個人風呂と女性用のお風呂とどちらに入ってもいいですよ、と言われ、迷ったけど女性用の広いお風呂へ。なんせ気温が暑いし、お湯も熱かったけど、そのうちじわっと気持ちよさが来て、なんか知らんが、おかあさんに抱っこされてるみたいな感覚になりました。。。なんか泣けてきた。温泉に入ってこんなことになるの、初めてです。思えば、鹿児島に来て以来、どこにいってもクロアゲハ蝶やきれいな青い体の蛾がいて、もしかして一人旅がさみしくならないように母が一緒に旅してくれてるのかなあと思ったりしました。Img_1518

鹿児島は母が亡くなる直前まで療養に来ていた場所で、母がいた頃一度お見舞いに来たけど、そのときは父が道案内やらみんなしてくれたので、どこになにがあるやらわかってなかった。けど、日々治療に通ってた市内の病院の前も、母が泊まってたウィークリーマンションのある界隈も、今回通りがかったらすぐここだとわかって、懐かしくなりました。母と父と3人で入ったおそばやさんとか、うなぎやさんも見つかった。鹿児島にいるあいだじゅう、母のことをいつもよりいっぱい思い出していました。

湯乃山温泉でそうやって半泣きしつつひとりでお湯につかってたら、「毎日入りにくる」という地元の方がいらして、その方は「ここのお湯は市内で一番いいですよ、塩素も加水もなにもないそのままのかけ流しだからね」と教えてくれました(温泉のご主人は素朴なおじさんで、やさしい人で、「ここのお湯はぬるぬるしているから、すべりやすいから気をつけてね」としか言わなくて、泉質についての案内とかは目立つところに貼ったりしてなくて)。そのうち常連さんがさらにどどどっといらして、お風呂の中はいっきに団らんの場となりました。鹿児島弁のイントネーションが心地よかった。

Img_1568 脱衣所は窓が開いていて、扇風機。エアコンとかはなくて、どこも自然の風で涼むようになっていて。お外のお庭の池の横に、おおきな扇風機があるテーブルがあって、涼めるようになっていました。テーブルには穴が開いていて、そこからバナナが生えていました。飲泉用の蛇口が池の脇にあって、地元のおじさんがポリタンクに入れていて、近くにいたおばさんも「ここのお水は体にいいんだよ」と教えてくださったので、わたしも水筒にもらってきました。

夏なのでまだ陽は長くて、暑かったけど、お風呂に入って頭も洗って、濡れた髪に風が通ると涼しくて、そのまま街の中心方面へ歩きました。夕方は少し風も涼しかった。

それでもさすがにずっと宿まで歩くとなるとあづいなーと感じだして、途中にあった市営(?)のサイクルポートで自転車を借りました。市内のあちこちにサイクルポートがあって、200円の登録料を払うと30分以内なら無料で、どこのポートからも乗ったり、降りたりできるようになっています。なかなか便利でした。これでドルフィンポートまで行って乗り捨てて、ドルフィンポート内にある、薩摩の物産市に隣接する海鮮食堂でおゆうはんを食べました。

ここは窓から桜島を眺めながらごはんが食べられて愉快です。ドルフィンポートは、今回の鹿児島行きで初めて行きましたが、お気に入りの場所になりました。最初に空港からのバスを降りたらすぐにドルフィンポートだったので、ちょっと寄ってみたのだけど、なんかハワイみたいだった。ごく小さなショッピングモールなんだけど、各店舗だけが室内で、店舗をつなぐデッキはオープンエアで。そこに足湯やら、テーブルと椅子やら、小さな水場やらがあって、そのデッキのどこにいても目の前は錦江湾を望むのんびりした公園で、その向こうはどーんと桜島が見えるのでした。鹿児島の中心街の喧騒とはぜんぜん違う、のどかさがあって、わたしには天国のような場所でした。

毎晩、宿に帰る前にはドルフィンポートによって、地域物産市で売られているベーグルを1つ、翌朝の朝食用に買いました。

* * *

快晴で猛暑だった1日目、2日目を経て、3日目は目覚めたら大雨でした。わかってなかったけど、台風が来てたのでした。ポンチョと傘は持ってきてたけど、さすがにこの雨の中出かけるのはなあ、と思って、とりあえず、衣類の洗濯をして屋上のガス乾燥機に放り込み。朝食を食べて。今日は午後まで雨らしいので、こないだ見かけたミニシアターで映画を見ちゃおうか、と思い立ち、宿でご一緒した(の)さんにそう言うと、彼女は今は一時的にこの宿に長期滞在中だけど、そもそも鹿児島に住んでいる方で、いろいろお詳しくて、このミニシアターの支配人の女性がそれまで鹿児島で良質な映画を見れる場をつくろうと公民館とかを借りて地道にやってきたこと、それがマルヤガーデンズの上に常設のシアターを持てることになったこと、オープン前日のてんやわんやなど、いろんな興味深いエピソードを教えてくださいました。で、この映画館の支配人の方について「ご自身をまったくよく見せようというのがない人なんですよ」と(の)さんがおっしゃってたのが印象に残り、ときどき入口にいらっしゃることもあるというので、一瞬晴れ間がのぞいたすきに宿を出て歩いて、気になってた1本を見に行ってみました。

Img_1582 支配人の方は入口にいらっしゃって、ごあいさつできました。こんなすてきな場をつくってくださっていて、と言うと「見に来てくださる方あってこそです」と。ほんとうに素朴な感じの方でした。入口のカウンター下にあった「39席の映画館。いつもみんなで映画(ゆめ)を見て~」という手描きの貼り紙、すてきでした。

映画のあと、雨降りの予報だったのになんだか雨の気配がなくなっていて、少し中心街(天文館)あたりをぶらぶらしたのだけど、街にいるのはやっぱりくたびれるな、と思って、こないだ桜島の温泉でおすすめされた、もう1つの桜島の温泉を目指してみることにしました。いったん宿に帰って、宿の自転車を借りて、またフェリーに自転車ごと乗りこみました。

Img_1601 フェリーを降りてから時計周りに、島の1/4を自転車で走りました。すぐだと思ったら、これが意外と遠かった。。。7.5kmくらいあったみたい。50分近く、ママチャリで走りました。海沿いの道なのでアップダウンはほとんどなく、とにかく静かでのんびりした道で、車もほとんど通らずで、のどかに走りました。空は明るく曇っていて、カンカン照りよりも涼しくてよかった。それでも汗マックスになったけれど。走っていて左に海、目の前に緑の桜島御岳がどーんとあるこの道の感じは、またしてもハワイ・オアフ島の西側を走ったときの感じと似ていた。錦江湾には野生のイルカもいるというし、どうもここらへんはハワイ感がある。。。

Img_1591 白浜温泉センターもやはり地元の方御用達のお風呂でした。ここは露天風呂があって、台風一過の空にはまだ雲や風がだいぶ残っていたので、外で風に吹かれながら入るとちょうど気持ち良かったです。地元の方たちにとってはやっぱり団らんの場になってたみたい。よそものはおじゃまかなーと気にはなりました。ご迷惑かけないように、気をつけましたが。。

また50分近く自転車を走らせて港に戻りました。濡れた髪に風を通しながら。。。汗かかないようにのんびり走ったけれど、やっぱり暑くはなって、港の脇にあるローソンのィートインスペースで涼みました。ゆっくりしてたらどんどん黒雲が御岳の上に広がりはじめたので、いそいでフェリーに乗って戻りました。自転車でフェリーに乗り込むのは、何度やっても愉快です。

宿に帰って、明日、できたら行きたいと思ってたしょうぶ学園へのアクセスを、宿のパソコンで調べました。中心街からバスで30分、ということはわかったけど、バスが何時にどこから出るのかとかよくわからず、がんばって調べた。。。

* * *

翌朝は目覚めた時は晴れてたけれど、予報では午前中からまた雨になるとのことだったので、早めにチェックアウトして、しょうぶ学園を目指すことにしました。

Img_1613 宿でご一緒した(の)さんにさよならのご挨拶をしたら、河童の形をしたもなかをお別れにくださって。開けてみて、と言われて開けてみたら鼻がつぶれていので「ちょっと待って!」と走っていって「こっちのが状態がいいかも!」と別のと取り替えてくれました。昨日が誕生日だったから、お祝いにみんなに配っていたの、とのこと。そういうお祝いの仕方、いいなあ、と思った。(の)さんはいろいろにおやさしいし、興味深いお話をいろいろしてくれて、おかげさまで一人旅だったけど夜も寂しくならずに過ごせました。ほんとにありがとうでした。

そしてこの日も湿度マックスの中、街路樹や建物の日陰を渡り歩いて天文館バス停へ。ただ天文館バス停といっても数カ所あるし、バス会社もいくつもあるし、なかなかトリッキーでした。やっとしょうぶ学園まで行く路線のバス停を見つけた頃にはすでに汗だく。。。日なたをさけるようにしてバスを待ち。。。バスに乗った後、エアコンで涼みました。

中心街から20分くらい走ると、緑の山の中を行く感じになって、ぐっと幸せ度が上がりました。それからまた市街地に出ました。しょうぶ学園はバス停から徒歩1分とサイトに書いてあったので、バス停を降りた後のことは調べずに行ったら、バス停のまわりはただただおうちがあるばかり。東西南北どちらへ行ったらいいかもわからずでした。しかもカンカン照り。。。小さい日陰を見つけてうずくまって、対策を考えていたら、道路向こう側のバス停に、バスを待つ人が表れたので、いそいで行ってその人に尋ねました。

Img_1623 そしたらもうすぐそこですよ、と教えていただけて、歩いていったら、なるほどすぐでした。敷地へ通じる道は両側の並木が美しくて、そこを抜けると広い敷地内に工房やカフェやショップやギャラリーが点在していました。

Img_1641Img_1643 それらをつなぐ道を緑や木々が縁取っていて、広場の真ん中らへんにはロバと羊がいてのんびりしていた。住宅街の中の一角なのに、この敷地内は生物多様性が半端なかったです。ロバ・羊舎の脇に小川がしつらえてあって、その周囲にも草木が豊かに茂っていて、赤とんぼ、青トンボが飛び交っていて。小川の水の中をのぞくと、タニシ(?)がいっぱいいた。いったいこれはどうやってるんだろう?と思ったほど、人工の場に有機的な命の広がりが実現されていました。

しょうぶ学園は障がいのある方のための支援施設で、利用者の方はここで暮らしている方もあれば、通ってきている方もあるようでした。

まずSギャラリーという、利用者の方による作品を展示しているギャラリーへ。歩いてきて暑かったので涼みたくもあって入ったら、ぶっとんだ。nui projectという、縫うという行為から生まれた作品たちが並んでいたんだけども、どれも、目を見張る美しさでした。何人かの人がそれぞれに”縫った”作品が並んでいたけれど、そのすべてに、ここの敷地内の自然環境に通じる確かな有機性がありました。命の表現なんだな、ということを、実証している、と思いました、この有機性が。。発露、なんだと。。

Img_1624 それから、とりあえず一息つこうと、向かいのパスタカフェOtafukuへ。ここも、予想をはるかに超える居心地の良さで。妙なことだけど、鹿児島にきて今がいちばんほっとしているかも、と思ったくらいです。2階の、大きな窓いっぱいに桜の青々とした葉っぱが風で揺れるのを映画のように眺められる席で、ランチをいただきました。オーダーをとってくださった店員さん、ドリンクのチョイスを1つ1つ読みあげてくださるのがうれしかった。

Img_1629 松の実ソースの、コイン型の型押しパスタ。器もここの利用者の方の手仕事の品で、パスタを食べ進むと下から数字の列がが出てきました。

Img_1631 メニューを束ねてある革のような質感の和紙のカバーも、スープ皿の受け皿の木のお皿も、磁器のパスタ皿も、陶器のナプキン入れも、デザートが入ってきた朱塗りの木の器も、木のスプーンも、ここのみなさんの手仕事の品です(コーヒーカップとソーサーは、ここの方が選んだ、別の土地の作家さんの作品だそうでした)。壁のアート作品も、店内の内装のディテールにも、利用者の方の作品がそこここにありました。

Img_1644_2 別棟のショップの入口の床のタイルも、1枚1枚が作品でした。

Img_1632 カフェレストランのテーブルに置かれた伝票の裏にあった言葉が、ここの、この心地よさのわけをひとことで表してるように思えました。

しょうぶ学園とこれまで44年歩んでこられた施設長の福森さんは、民藝の心得のある方だということはどこかで耳にしていたけれど、民藝とアートとがこうも有機的に交わっている場になっているとは、予想以上でした。用の美と、用を目指さない美と、その両方が等しく大切にされている場の心地よさ、といったらいいのかな。この環境がまるごとひとつの表現というか。。

自分の中である種対極的だったものが、ここでは地に足ついて調和していたので、、、あ、この境地、と、、まだおぼろで頼りないけど、道案内をいただいたような、なんかひとつ通路?回路?が開いたような、そんな感じがしています。

ショップには利用者のみなさんと“コラボ”した作品がたくさん並んでいて、じっくり拝見しました。とっても気になるものはたくさんあったけど、荷物と予算の関係で連れ帰ってきたのは2点。小さな陶器の器と、段ボールで作ってあるおうち型のポストカード。

Img_1645 ペイント植木鉢も大変すてきで、見ているだけで楽しい気持ちになりました。

スタッフの方と利用者の方とが一緒にこの場をつくっているのが、伝わってくる場面にも出くわしました。わたしがショップを見てまわったあと入口へ戻ると、その脇のほうで、スタッフの方と、ショップまわりでのお仕事を受け持っているらしい利用者の方が、小さなミーティングをしていました。そうやってその場その場で、何を難しいと感じてるのか、など、お互いのありようを確認しあっていってるんだなあ、という印象を持ちました。

バスでまた天文館に戻って、最後に、母が療養中滞在していた一角を歩いて、そこにある温泉銭湯に入りました。4年前?に母のお見舞いに来たとき、ここの銭湯で、介護職をしている姪っ子さんが手造りしているというEM石鹸を2つ買って帰ったら、これが虫刺されにも効くし、すっかり愛用していたのだけど、そろそろ2つ目がちびて来ていて、もしまだ売っていたら、買えたらいいなと思っていました。今回、ないかなーと思ってたら、さほど目立たない感じで棚の上に、籠に入って並んでいたのを見たときは嬉しかったです。

ひと風呂あびて、手造り石鹸を買って、カンカン照りの中、また街路樹や建物の日陰を伝い歩きして空港行きバス停へ。帰路に就きました。

* * *

まったくの一人旅は、かなり久しぶりだったけれど、相方は豆に携帯にメールをくれて、きょうだいともラインができて、宿やお風呂でご一緒した方たちともお話できて、意外とぜんぜん寂しくなくて、むしろ、ちょうどよい感じでした。宿のグリーンゲストハウスもものすごく快適で、清潔で、何不自由なく過ごさせてもらえて、ありがたかったです。

LCCの飛行機も、手軽に券を買って、軽い手荷物だけもってポンと乗れて、ポンと降りれて、快適でした。前日に航空券を買って旅に出るのは、学生時代にしたきりだったけど、やっぱりいいな。思い立ったら吉日、です。今回は旅のメインの理由(用事)がそんなにノリノリに前向きなものではなかったので、そこまでノリノリに楽しい一人旅ではなかったけれど、こういうふうに遠くに出掛けられる可能性というのは、前回の北海道と合わせて、十分に体感できました。

Img_1520 Img_1656 連日あづくて汗だくになって歩く/自転車で走る→かきごおり(白くま)食べる→温泉に入る(鹿児島市は銭湯が全部温泉らしかった)の繰り返しで、なんだかシンプルにただ存在していたという感じの日々で、デトックス?されたような。。

相方と一緒に旅していたら3倍楽しかっただろうな、とは思うけれど、今回は自分の体調のせいもあるのか、ひとりでいることもちょうどよかったです。知らない土地にひとりでいるのって、独特の開放感があるもんだなーと思いました。

蝶やきれいな蛾やトンボにいっぱい会えたのも、うれしかった。暑さと湿度はほんとにやばかったけど、南国ってやっぱり好きだな、と思いました。鹿児島のみなさま、お世話になりました。。

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飛んでしまった

Img_1341 北海道に、相方が仕事で出かけるのに合わせて「一緒にきちゃえば」と冗談まじりに言われたので、まさかーと思いながらLCCのチケットをちょっと見てみたら、意外とお安いんだ、とわかって、相方が出発した翌朝にわたしも航空券を買って、そのまますぐ荷造りをして、仕事とパソコン持って空港へ向かってしまいました。LCCの初体験。急に決めたので、LCCに独特の、荷物の個数や重量制限のこととか、ぜんぜん知らずに行ってしまったけど、3月に軽い手荷物の旅をしてからそのスタイルになじんでたので、ふつうに荷造りして行っても手荷物の制限にひっかかったりせずに済んで幸いでした。。。

飛ぶこと自体に不安はなかったけど、ほんとに行っていいのか、不安だったし怖かった。とにかく、ここしばらくこころに乱気流がしょっちゅう起きて疲れ果ててたので、飛行機の中ではひたすら眠りました。

新千歳空港に着くまでのことだけ把握して家を出たので、空港に着いた後のことはまったく白紙でした。とりあえず空港の案内所のお姉さんにここからどこへどういったらいいかを教えてもらって、札幌駅へ。

日中の仕事の邪魔をしちゃいけないと思って、空港に着いた後に相方のケータイに「来ちゃった」と連絡。「おー」という返信が帰ってきました。迷惑になるようなら、一人旅をしよう、と心に決めていたのだけど、その夜から合流させてもらえました。札幌在住の相方の友人(み)さんと会って、お茶とおゆうはんをご一緒しました。彼女はわたしのお気に入りの人で(こういう言い方すると妙ですが)、相方を家で見送ったとき「(み)さんによろしくね」と言ってたのに、自分がご本人とこうしてお会いしているのが不思議でした。(み)さんには、つらいときは薬に頼ることも考えていい、と教わりました。彼女も経験者だったのでした。。

Img_1348 翌朝は、また相方は仕事だったので、私もどこかカフェで仕事しようとパソコン持って出かけたのだけど、カフェがみあたらず、とりあえずちょっと寄ってみた円山公園の公園事務所で、円山公園に"原始林"があると書いてあったので、パソコンはロッカーに入れて森へ歩きだしました。

公園らしく整えてある一角には、エゾザクラ((かわいい赤い実をいっぱいつけていました)や白樺やハルニレ、アカナラが。

Img_1349 Img_1354 Img_1379 でも森へ少し入ったら、カツラの巨木のオンパレードでびっくりしました。あっけにとられて立ち尽くしてたら、エゾシマリスとヒガラが1メートルくらいのとこまで走り(飛び)寄ってきた。なんかチェックされたみたいでした。

Img_1358 Img_1363 その少し先へ行くと倒木のうろに、ヤマガラとエゾシマリスがかわりばんこに入っていって、ごはん食べてるとこに出くわしました。

エゾシマリスはほっぺたパンパンに膨らまして食べていた。。。そしてエゾシマリスは尻尾がうさぎみたいだったのが意外でした。エゾシマリスはみんなうさぎ尻尾なんだろか?Img_1361

精神のコンディションはかなりあやうかったときだったので、森の生き物や草木のみなさんにはとても助けられました。

おひるごはんを、相方と合流して、関東から北海道へこの春引越しされたばかりの(な)さんとご一緒しました。久しぶりに会えて、お話聴けてうれしかった。お元気そうで、なによりでした。

午後は相方は仕事に戻り、わたしも今度はカフェで仕事。今回は小さい19リットルのキャリーケースにパソコンを入れてきたのだけど、それでも必要な荷物はみんな入って、不自由なかったです。3月にやってみた軽い手荷物の旅のおかげさまで、身軽に旅に出ること自体は楽になりました。

仕事が終わるころ、会場の(な)さんのおうちへ伺って、相方と合流したのだけど、この(な)さんは天使のような方で。初めてお会いするのに、なんだか心の奥がちょっとほどけました。不思議でした。

翌朝は、目ざめて顔を洗っていると、相方が「こちらに住んでる(か)さんが朝ごはんの時間なら会えるそうなんだけど、どう?」と。初対面の人に会うのがとーても苦手な自分だけれど、なんとなくこのときは、うん、と返事をしていて。朝早くからやっているというおしゃれなカフェに連れていっていただきました。ご縁あって、親子2世代で同じことをお勉強されているというお話など、興味深かったです。

この(か)さんは、円山公園の“原始林”とつらなっていてもっと広大な原始林が広がっているという藻岩山のほうにお住まいとのことで、そちらのほうにキャンプできるところやログキャビンに泊まれるところがあるんですよ、と言われたとき、少しこころがわくっとしました。

朝ごはんの後お別れして、相方と登別へ行きました。相方はいつも仕事のあと最終日に虎杖浜の温泉宿に泊まって体を休めることにしていて、今回もその予定だったのでした。虎杖浜に直行してもよいけど、その手前の白老というところにアイヌ民族博物館があると耳にしたので、ちょっと行ってみたい気もしました。

じゃ、とりあえず電車に乗って、白老の駅を見てから降りるかどうかきめよう、ということにして、電車に乗り込み、白老の駅について「どうする?どうする?」と少しまよってから「降りようか!」と降りてみました(電車は本数があまりないので、ここで降りるか降りないかで1日の計画がだいぶん左右されるのでした)。

Img_1400 Img_1397 19883520_10213451912831178_12756058 白老の駅のロッカーに荷物を預けて、さらに身軽になって、アイヌ民族博物館のあるポロトコタンまで歩きました。湖畔にカヤでできたアイヌの伝統家屋、チセが何軒も立ち並んでいました。白樺の木立が美しかった。

一軒一軒のチセは中が異なっていて、うたとおどりを披露していただけるようになっているチセや、草木から繊維を取り出して織る手仕事の展示があってお二人の女性が普通に(見せるためとかではない感じで)服を縫っているチセ、暮らしの道具が展示してあっていろりで鮭がいぶされているチセなどありましたが、どこのチセにいる係の方も、お互いに仲良しそうで、楽しそうに談笑されていて、ここのコタンのコミュニティの雰囲気を感じました。

しばらくゆっくり過ごしました。アイヌ民族博物館は見ごたえのある展示だったけれど、一番印象に残っているのは、昔の暮らしを再現した大きいサイズのジオラマのような展示です。手前に森、奥にチセがあって、そのまわりでアイヌの人たちが生活のさまざまなことをしているんだけど、その人形たちは比較的小さくて、手前側のほうには、人形たちよりもずっと大きいサイズでクマやテン(?)や、ウサギなどが躍動感みなぎる動きのあるポーズで配置されていました。動物たちの展示が本当に生き生きしていて動きを感じさせたし、大きかったのです。

アイヌの人の自然観が、この展示に表れているようにも思いました。自然の中で人の占める位置や割合を照らし出しているのかもしれない気がした。こんなふうに人の暮らしを立体展示しているものは、これまで見たことがなかったです。

Img_1410 博物館を出て、カフェに入って、野草茶とじゃがいもを凍らせたあと練って焼いたおもちをいただきました。おいしかったので、「これ冷凍庫でじゃがいもを凍らせたら、うちでもできるかなあ」とつぶやいたら、お店の方が「できますよ」と答えてくださって、作り方を教えてくださいました。北海道では冬場屋外で凍らせるそうなんですが、家庭の冷凍庫でもできるそう。

店内に、アイヌの伝統食についての本や、アイヌの方々が草木をどう利用してきたかについての本などが置いてあったので、興味深く読みました。そのうちの1冊が博物館の売店にあったので、買ってきました。野草をどんなときにどう利用してきたかを、複数の方々への聞き書きと、文献とから、抜粋している内容。わたしのいただいた野草茶のエントは日本語名ナギナタコウジュ。道端によく生えている草です。アイヌの方は風邪をひいたときや二日酔いのときによくお茶やお粥にして摂ったそうです。

19894118_10213451908591072_10444126 相方はここのコタンでつくっている、鮭の燻製をいたく気に入って大人買いしていました。サッチェプと呼ばれるもので、白老沖で獲れた鮭をひと冬のあいだ軒先に吊るして干して、そのあとチセの中のいろりの煙に毎日あてて2か月のあいだじっくり燻製にしたもの。サッチェプのアイヌの人たちにとっての意味合いや詳しい作り方はこのサイトに詳しいです。一番大切な保存食なんだそうです。

ポロト湖の奥には、ポロトの森キャンプ場というのがあるらしかく、看板を見かけました。北海道でキャンプ、してみたいな、とまたちょっと思った。

このポロトコタンのすぐ隣に大規模な造成工事が行われていたので、どうなるんだろう、と心配になったけれど、あとで駅で見かけたポスターで、わけがわかりました。「2020年、白老ポロト湖畔に. 国立アイヌ民族博物館・国立民族共生公園、誕生」とのことでした。「アイヌの尊厳を尊重し、アイヌの歴史・文化等を復興するナショナルセンターとして、. 北海道白老町に『民族共生象徴空間が整備されます」とありました。

* * *

Img_1425 夕方には登別駅へ行って、温泉宿へ。宿についたら目の前の木立の合間に鹿が1頭、立っていました。きれいだった。夕食後に、部屋から海をボーっと見ていたら、部屋の真下のミニゴルフコースに、ハクセキレイがずうっと遊んでいて、そのうちそこに鹿も来て、しばらくなにか食んでいました。

ここの虎杖浜のお宿は海を見下ろす露天風呂のお湯がすばらしくて、夕食前と、真夜中と、朝と、3度も入ってしまいました。昔ながらの温泉宿というふうでしたが、ロビーや廊下にはとてもすてきなアートが掛かっていて、調度品や家具も無垢の木製で、気持ちよかったです。

Img_1476 アート作品はどれもキャンバスでなく、板に描いてあった。国松希根太 さんという方の作品。後でググったら、宿と同じ白老町にある飛生アートコミュニティーを拠点に制作活動をされている方でした。どれもとても惹かれた。

* * *

Img_1448Img_1456 Img_1452_2翌朝、宿のまわりを散歩してみようと降りていくと、ミニゴルフをしていたおじさんたちが「遊歩道はあっちだよ」と教えてくれて、言われたとおりの方向へいくと草木のあいだにほそく踏みしだかれた道があったので、歩いて行ってみました。海をもっと近くで見下ろせるところまで歩いていけて。アカナラの木(かな?)や野草、きれいでした。

戻ってきた後、ここのミニゴルフの係の人らしきおじさんに、「あそこの道を行っちゃったの?今は閉鎖されているんだよ」と言われました。「え!ゴルフのおじさんたちに言われたとおりに行ったんですが」と言ったら、「今は危ないから閉鎖しているの、草も刈ってなかったでしょう」と。でも無事に帰ってこれてよかったと思いつついたら、おじさんは別に怒っていたわけでもなくて、いろいろとお話をしてくれました。

おじさんは登別の方ではなく、伊達の出身とのことでしたが、ここらへんは昔は馬で舟を引いて陸に上げていたこと、宿の敷地になっているこのあたりは馬が草を食べる場所だったこと、など教えてくださって。特にそういう質問をしたわけでないのに、教えてくださって興味深かったのと。。。

あとふいに、この虎杖浜は夏はキャンプ場になる、と話し出されました。夏には浜で水道も通るからテントを張ってキャンプできる、と。まるでキャンプ好きの私の脳内を読んでいるかのよう???でした。夏以外の季節も、そこの浜の手前に家が一軒見るでしょう、あそこの(ま)さんはやさしいから、水がない時期は(ま)さんからもらえる、とおっしゃっていました。後でネットで虎杖浜のキャンプ場について検索してみたけど、見当たらなかった。ローカル限定のキャンプじょうなんだろか?と思いつつ、いつかここでテント泊してみたいなあと夢想しています。

Img_1478 この日はこの後、バスで登別から空港へ。バスの出発時間までしばらくあったので、バス停の横の券売所のおばさんに荷物を預かってもらって、となりのスーパーでアスパラやしいたけなどをおみやげに買いこみました。この券売所にはきれいなディスプレーがあって、その真ん中には昔の大鋸(おが)に、森で過ごす子どもたちの絵を描いたものが、飾ってありました。

* * *

疲れ果てた精神状態で、毎日泣きすぎてまぶたがふくれたまんまの顔で飛んで行った北海道だったけど、お会いした動物や草木や人や、温泉のお湯や海の幸や、アートのおかげさまで、だいぶん持ち直せた感じでした。ほんとうに、みなさま、ありがとうございました。

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