2016.09.18

9月

20160912_075307 今年はジャスミンが例年になくたくさん花をつけています。3号ポットに入ったひょろんとした苗を植えて、何年たったのかな。もうすっかり大人な感じになった。

先日は、中秋の名月、きれいでした。下駄はいて夜の散歩に出て、うさぎがお餅つきしてるの、見えるかな―と目を凝らしたら、となりで相方が「あ、めがね、わすれた」と。遠くと見 るときに使うめがねらしかったけど、遠くといっても月はだいぶん遠いよ?と疑問に思いました。でもやっぱりかけるとかけないとでは違うらしかった。

Photoこの夜は、香港のともだちがくれた、巨大月餅を1/4だけいただきました。黄身が2つも入っていて、ハスの実の餡で、おいしかった!香港では、家族で集まって、ごちそうを食べる日だそうです。ごちそうのお皿がたくさん並んだ写真を見せてくれました。テーブルいっぱいにごちそうが並んでるのだけど、その下に新聞紙が敷き詰められていて。不思議に思ったけど、なんでも、おばあちゃん世代の人はめんどうを省くためにこうやったりするんだよ、とのこと。

さまざまな場所の、さまざまなしきたり、いいなあと、しみじみ。

20160916_110151 フィンランドのサンタさんからいただいた、フィンランド・サンタ一族の12カ月を描いたカレンダーでは、9月はみんなでやかんコーヒー(やかんの中に粉 コーヒーをどぱっといれて焚火で沸かすコーヒー)とマッカラというソーセージを焚火であぶるのとを楽しんでいます(先月は、サンタ一族みんなで森でブルー ベリー摘みをしていた)。なつかしいフィンランドの焚火。見知らぬグループ同士も同じ火をシェアしたりしていたこととか、思い出します。

秋も折り返し地点をすぎて、そろそろ自分ちあたりも、焚火日和になってきたかも。野山に行きたくなりまする。

でもこの秋は台風の挙動が物騒すぎて、なかなかキャンプにも行けずじまい。仕事の能率もなぜか下がっていて(水星逆行のせいもあるかな?)、家で木削りするのもままならない日々……。むーん。

相方のお誕生日も、例年、小旅行アドベンチャーをしてたのだけど、今年は台風の様子を見て、ごく近所の、新しい場所へアドベンチャーしてきました。江ノ島水族館と、寒川神社と、寒川神社の近くにある完全予約制韓国料理やさん。

寒川神社は、なんだかすーっとしている場所でした。お参りしようとしたとき前方で何かが執り行われている最中だったらしく、神主さんがふと鳴らした鈴の音が、とてもきれいではっとしました。

そのあと、お守りなどを売っているところへ行くと、「みすゞ」と書いた箱があって、なんだろうと思ったら、白い紐に結わかれた鈴が販売されていたのでした。そのほかにも、朱色の紐に8つの鈴が結わいてあるのも売られていました。神主さんの鳴らしていたののミニバージョンみたいで、音色はやっぱり、ほがらかに澄んでいて、きれいでした。

20160918_161210 境内の別のおみやげものやさんも覗いたら、そこには、さらにたくさんの種類の小さい鈴(というか、鳴りもののキーホルダー)がいーっぱい並んでいました。音色もさまざま。相方のお祝いに、水琴鈴というのを1つ、買いました。この鈴は、りりん、というよりかは、しゃららん、という音。後で、相方のギターと唄に合わせて、カホンを叩いて遊んでいたときに、この水琴鈴を合間に鳴らしてみたら、パーカッションの人がよく使うウィンドチャイム(シャラランと鳴る楽器)にそっくりで! とてもいい感じでした。

翌朝目覚めて、起きぬけに一番に思い出したのも、寒川神社の鈴たちのことでした。

でも、寒川神社の前に行った、完全予約制韓国料理屋さんの「オムニ」さんも、衝撃度は同じというか、上回っていたくらいでした。

20160913_134140 うわさでは聞いていたけど、ほんとうに、人生で食べたチヂミの中で、一番おいしいチジミをいただきました。あと、お店の真向かいの梨農園の梨を使っているという、梨のキムチも最高でした。梨の冷麺も……。そしてきわめつけに、わたしも、ご一緒した(た)さんも悶絶したのが、最後に出たいちじくのデザート。もうこれは、いちじくそのものよりもいちじくらしい!としか言えないお味で、口に入れた瞬間、びっくりしました。20160913_144244

オムニのママも、気さくなすてきな方で、「2度目に来るときはお客さんはもう家族みたいになっちゃうんだよー」、とおっしゃってましたが、なるほどそうだろうなと思いました。おなかパンパカリンに食べても後でちっとももたれないところもさすがでした。

相方も、ご一緒した(た)さん(彼女も同じく9月がお誕生日)も、食べることが大好きなので、よかったことでした!

* * *

江ノ島水族館は、近所にありながら、一度行かなきゃねといいつつ何年もたってしまった場所です。でも行ってみたら、興奮のるつぼに包まれました…。あまりに興奮して、ドキがムネムネじゃない、胸がドキドキして大変でした。いったん気を落ちつけに、水族館の外に出て喫茶店でお茶しないといけないくらいでした(水族館は入退場が自由です)。

相模湾大水槽という大きな水槽があって、もうこれが最高で、ここだけ見てるだけでも大満足なくらいなのに、さらに海獣のみなさんのショーや、お魚たちをダイバーが紹介するショー、深海の生き物のみなさんやクラゲファミリー、ひとりひとり個性が紹介されているペンギンたちやゴマフアザラシなどなど、みんなそれぞれにとても愛情をかけてお世話されている様子が伝わってきました。

ショーはいずれも、海の生き物ひとりひとりの個性を知ってもらって、もっと好きになってもらいたい、もっと親しみを持ってもらいたい、というのが一番の意図だということがびしびし伝わってくるのでした。人(お客さん)ありき、ではなく、生き物ありき。そう感じられて、嬉しかったです。

江ノ島水族館は、創業が1954年、日本で最初の近代的な水族館だったそう。いろんな分野でパイオニアなのでした。イルカはもう水族館生まれが5世代目。相模湾大水槽にいるネコザメも卵をレギュラーに生んでいるみたいでした。シラスの繁殖に成功したのも、実は偉業なのだとか。

光が届かないほど深い海に暮らす生き物は、色白でした。深海は水圧がものすごく高くなって、カップラーメンの入れ物をその深さまで沈めたとしたら、縮み上がってしまうくらいな場所。そんな場所でしっかり生きている生き物がいることは、なんというのかな、頼もしいな、と。わたしの心の奥底にも、そういう生き物が、ひょっとするといるのかもしれない、なぞと思いました。

14333146_10210415674287112_25498800 相模湾大水槽は、まるでお魚のおでこをじかになでなでしているような気分になれる、内側に湾曲したウィンドーもあって、そこでネコザメ(のタマさんかな?)に愉気もさせてもらえました(写真はネコザメさんではないほうのお魚)。

しかし江ノ島水族館は、情報量が多すぎて、くたくたになりました。最後はめまいのようなものがして体調がやばくなって、帰宅してからもぐったりしていました。大変だった。。。でも、また行きたい。

* * *

20160918_134826最近の手仕事は。。。今日はほうぼうでグリーンウッドワーク仲間のみなさんが、椅子づくりなどをしているのもあって、ひとり家で仕事をしてるのが切なくなって、まな板のカンナがけをしました。少しなぐさめられた。。ような。

相方のリクエストあって、つげ櫛のカバーを縫いました。母の形見の布で。布を工夫して折って、2カ所を直線に縫ってあとはひっくり返すだけ、という縫い方を参考に、デザインしてみました。なかなかおもしろかった。 20160916_203359 20160917_080854 20160917_080936

それと、以前相方のお誕生日のお祝いに、相方のおばあちゃんの形見の布でズボンを縫ったのだけど、その丈が長すぎるのを直して、と言われたきりになってたので、お直ししました。

20160918_093300 そして遅ればせながら、お誕生日ケーキとして、紅玉りんごで逆さアップルパイケーキをつくりました。今年の相方のお誕生日は前々日から始まって、1週間に渡ってだらだらと(?)お祝いをしています。こんな年もあっていいのかな。

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2016.08.20

夏の記憶&ミニスツールづくり実験のつづき

20160805_203009 今年は、蝉の声を聞くと無性にうれしくなります。そして、びっくりなことに、おととい夜だったかな、早くも鈴虫の声がしました。

旧暦で秋の月に入ったら、風の湿度がぐっと下がって、白百合も咲きだして、季節のめぐりを感じました。台風が来始めて、今は雨の多い地域のことが気がかり。。。

この夏は、わりと近場で楽しく過ごしてました。最寄駅近くのブラジリアンバーに誘ってもらってライブを聞きに行ったり♫

初めて姪っ子と姉がうちに遊びにきてくれたり♡

相方と空いている浜に花火を見に行ったり!!20160805_204743

一緒に海水浴に行きたいと声かけてくれたともだちたちのおかげで、浜で朝から晩まで浜で過ごす、豪華版海水浴を2回もできたのもうれしかったです☆ 今年は例年以上に海水浴をまっとうに楽しみました。

20160730_101924_2 (り)さんと行った1度目は、あお向けに浮かんで空を眺めてたら、太陽のまわりにおおーきな丸い虹が。この日はおゆうはんを波打ち際で食べていたら、海の向こう、水平線のとこにちいーさく花火が幾度もあがりました。赤い星が明るく輝いているのも見ました。あれはさそり座のアンタレスか、それとも火星か、どっちだったろう。。いい夜でした。

20160812_084328シュノーケルをしてみたいという(ひ)さんの一言がきっかけで出かけた2度目は、いつも行く浜でシュノーケルもして、焼き魚にしたらおいしそうな大きなお魚や、黒いボーダーがお似合いのお魚、ほぼ砂に同化している保護色のお魚など、予想外にいろんなお魚を会えて、すごく楽しかった!体長30センチくらいの魚の群れが向こうから来て、わーっと両側をはさまれた瞬間もありました。迫力あった。。

ちょっと深いところでシュノーケルしすぎて体が冷えてしまって、波打ち際の平たい岩の上で、お湯のようにあったまった海水に浸ろうと、5人でならんで「寝湯」したのも楽しかったです。

お魚があまりいない場所でも、シュノーケルをつけてうつぶせて海に浮かんでいると、白砂の海底に光の波紋がゆらゆらゆれて、天国のようでした(この日は特に水がきれいで)。あの波紋を眺めているのは、相当幸せ感がある。十代の頃から、水に入っているとき一番好きなのはこれです。

太陽が傾き始めた遅い午後に、きらきら光る水面を水平線にむかってずーっと泳いでいくのも幸せ。。。

そんなにものすごくきれいな青い海!っていうわけではない、近場の海でも、こんなに楽しいってすごい。そして大人になっても、こんなふうに海を一緒に楽しめるともだちがいてくれること、うれしいです(海の達人の友だちには、海水浴のかっこいい終え方も教わることができました)。ありがとう♡

それからもひとつ、今年増えた近場の楽しみは、うちから都心とは逆方面にある、すごいパフェを食べさせてくれる喫茶店。わざわざ電車にのって食べに行きたいお店です。

20160806_174437 二宮にある山小屋という喫茶店。お店の雰囲気もすごく気持ちよくて、ほんとうに山小屋みたいで。

このパフェがどうすごいかというと、フルーツもアイスもソースもトッピングも何種類もあって、それを自由に(いくつでも)選んでオーダーできるのです。どの組み合わせも同じお値段。この組み合わせだとどんな味になるのかな!?とわくわくしながら考える楽しさ。。。組み合わせによって、まったく違う味の世界が広がります。そして、いずれも後味はさっぱりとしていて、変に甘かったりしないのです。すごい。

20160806_174441_2 相方は、ここのパフェづくりの達人おすすめの組み合わせの「桃とタピオカのパフェ」が大のお気に入り。わたしは自分で選んで組み合わせてみるのにはまっています。

* * *

さてはて。まとまった休みがなかなかなかったのだけど、20160817_131137 数日前、長いこと途中のままになっていたミニスツールをようやっと仕上げました。

最初に、剪定した庭木のセンダンを切ったり割ったり削ったりして部材をつくったのが、2月末。ゆっくり乾燥させて、フレームを組み上げたのが6月6日。脚の面取りとオイル処理をしてフレームの仕上げをしたのが7月22日。ようやく座編みをしました。

20160817_114609_2ひとつめのスツール(大きいほう)をつくったときに余った麻テープが9.8mあったので、これで編んでみたら、ほぼちょうどぴったりでした。編み終わったら50㎝ほど余っただけでした。

2mm厚、2.5㎝幅、長さ25mの麻テープ一巻きで、ちょうど大小2つのスツールにちょうどいいとは、計算してなかっただけに嬉しかった!

20160817_132310 そしてもひとつ嬉しかったのは、計算したわけではなかったけど、ミニスツールが大きい方のスツールの下にぴたっと収まること。使わないときば、場所を取らずにしまっておけます。

 今回は長さ50㎝のうすべったいヒノキ板がたまたま手元にあったので、これを編み棒に使いました。あとは太めの編み針(編むときの道を開く道具)、かまぼこ板(編み目を押して整える道具)、ミニピンチ1つ使いました。最後の1列は苦労しました。ビニールテープと細い平たい棒でやりくりしました。20160817_131248

次の実験段階は、使い心地と耐久性を見てみること。今のところ、しっかりしていていい感じです。

20160727_112714 使い始めてしばらく経つ、大きい方のスツールは、わずかに座面がゆるんだかな、というのはあるけれど、フレームそのものはしっかりしたまま、元気です。これに数時間腰掛けてスプーンを削ったり、椅子にすわったときのオットマンにしたり、パソコンのちょい置き場にしたり、日々愛用しています。

ひとつ気づいたのは、樹皮を剥いでいないほうの脚の、樹皮がぼこっと出ている場所が、乾燥すると細かな木くずを落とすこと。はじめ、虫くいでも起きたのかなと思ったけれど、穴もなにもないので、ただ表面が乾燥して落ちるらしいことがわかりました。

つるんとしたままの樹皮がついている部分には、何も起きていないし……。

ミニスツールは、フレームの仕上げのときに、樹皮付きのパーツも、剥いだパーツも、すべて同じようにオイル仕上げをしました。もしかしたら、これで乾燥が防げて木くず落下を防げるかもしれないので、様子を見てみよう。。

今木くずが落ちてる、大きいほうのスツールも、今からオイルを塗ってみるのも一案かもしれないな。

悠長な実験が続きます。。。

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2016.07.21

夏の養生策&スプーンナイフの砥ぎのこころみ

20160718_115440 「猫の額庭」のかえでが、窓の向こうであおあおと元気で、部屋の中からみると、額縁に入った絵のよう。麗しいです。

毎日暑かったのと、参院選、都知事選のことで頭もきもちもいっぱいになっていて、今年の7月はなかなかこたえました。。。いろんな不安や心配がアンダートーンとしてそこにある感じで、体力が奪われているようなふうです。

でもようやく水無月も満月を越えてのこり2週間。この下弦の月のあいだに、少しはちらかっている頭のなかや、案件をお片づけして、養生もして、少し落ち着いて過ごしたいです。

20160719_161807 最近の養生策。。近所に出かけるときは、下駄で歩いていくのがブームです。相方は下駄で歩くと、肩凝りが解消されていくとのこと。2人で歩くと音がにぎやかで愉快です。でも喫茶店に入って、トイレに立ったりするとき、他のお客さんにふりかえられたりします。。。

とても履きやすいこの下駄は、郡上八幡の郡上木履さんの。お世話になっている岐阜の森林文化アカデミーの卒業生の方がはじめたブランドで、地元のひのきで つくっておられます。郡上踊りの踊り下駄。(郡上踊りを踊る人は、ひと夏でげたを1足、はきつぶしてしまうそうです。。!)和の虹色の鼻緒も気に入っています。

数十分、この下駄を履いて出かけて、帰宅すると、家の中のフローリングの床がふわんふわんにやわらかく感じます。すごくおもしろい現象で、毎回よろこんでしばらく家の中を歩き回ります。体の感覚っておもしろいなあ、とつくづく思います。

20160720_171859 この時期の養生策その2は、古典的に、海水浴です。昨日は、相方が珍しく休みだったので、夕方から、少し遠くのお気に入りの浜へ行きました。まだ夏休み前だったのと、この浜の近くの別の浜で大きな花火大会が開催されていたことから、こちらの浜はがら空きで、とっても快適でした。

波もおだやかで、まるで湖で泳ぐみたい。傾いた太陽にきらきらひかる水平線に向かっておよいでいくとき、久しぶりにとてもシンプルなただの生き物になりました。

足がつかない深さになると慌てる日もあるけど、この日はまったく不安もなく、のびのびとおよぎました。

20160720_180813 砂浜で砂遊びをしたりもして。とてののんびりした。。。浜に座っていると、風の温度も空気の温度も完璧に心地よくて(暑くもなく寒くもなく)、すぐそこまで打ち寄せてくる波の音も景色も楽しくて、ほんとうに居心地よかったのでした。

家にいるとあづいーと思っているときでも、浜へいくと涼しい(海にちょっと入ってからだとなおさら)。

家の近所の浜に、ざぶんと入りにいくことも、この夏1度、やりました。ほんとうにざぶんと入って、帰ってくる。海水浴だといってあれこれおおごとにならずに、水着をきたまま自転車で浜まで走って、また水着を着たまま帰ってきます。これだけでだいぶん涼しくなります。家で水風呂に入るんでもいいんだろうけれど。。。

やらなくちゃいけない仕事も、やりたいグリーンウッドワーク関係のこと(とくに砥ぎ!)も、たくさんあるけど、とりあえず夏の日々は、体力的になんとか生き延びることが優先、という感じです。。。

* * *

あ。でも砥ぎも、グリーンウッドワーク指導者養成講座で前回、砥ぎを教わって帰ってきてから、すき間の時間にスプーンナイフ(クルックナイフ)だけは砥いでみることができました。

20160721_160959 いままでおっかなびっくりで、へんな刃になってはいけないと腰抜けな感じでしか砥げずにいたのだけど、今回教わってから、思い切ってハラを決めて砥いでみたら、なるほどー、ちがうー、というのがよくわかりました。

このナイフをつくってくださった大泉さんには、フィンランドに送ったら砥いでくださる、と言ってもらっていましたが、自力で砥げないことにはしょうがない、と思っていたので、今回教わることができて、ほんとによかった。。。

砥ぎというのは、砥ぎあがりのきめ細やかさが、そのまま削ったときの木の断面にコピーされる、と今回聞いて、とてもわかりやすかったのでした。刃こぼれしていると、そのカケの部分が筋になって断面に残る、というのは体験済みで知っていたけれど、もっと見た目に明らかでないきめ細やかさの度合いについては、それが削ったものにどう影響するのか、はっきりわかっていませんでした。よく切れると、力ずくにならずに済むから、ケガなどの危険が減る、というくらいしか考えが至っていなかった。。。おかげさまで用途によって、どういうふうに砥ぎたいかを判別する基準もはっきりしてきました。

「刃がまったくついていない。。(汗)」と先生に見せたときに言われたわたしのスプーンナイフは、砥いでみた今の状態も、先生に見せたらたぶん相当あやしい出来だーということになるとは思うのだけど、それでも!少し前にこの「刃のついていない」状態で削っていたスプーンのさじ部分をあらためて削りなおしてみたら、「なんて快適!そして削り跡が断然きれい!」と思いました。刃のほうも、青棒を使ってみることで、一応(?)ミラーフィニッシュに近づきました\(^o^)/

やはり切れない刃物はよくないですね。。時間をかけて一生懸命、へたな努力をしていたなあと思います。ストレスなく、きれいに仕上がる、というのは気持ちがいいです。自分のやったことのフィードバックが鋭敏に返ってくるって、楽しいです。

道具がよくなっただけで、自分の腕が上がったように感じる。。。改めて、道具のクオリティって大事だなと思い至りました。自分の手に合った大きさだとか、ふさわしい砥ぎ具合だとか。

削っただけの仕上げにあこがれている(サンディングをしないで仕上げたい)自分としては、砥ぎはときめきの源になりつつあります。(砥ぎについての講座を受けた帰りの夜行バスでは、またいつものように、飲み込みのはやい他の受講者のみなさんと自分をくらべて、ひとしきり落ち込んでいたのだけど、毎回踏まれた雑草のごとく好奇心がまた起き上がってきて、モチベーションがふたたび上がり始めるのでした。。。しぶといな、わたし。。。自分は、こういうことをする器量がないのだから、ふさわしくない、やっちゃいけない、他の人に機会をゆずるべきだetcという想いは常にそこにあるんだけれども、好きになっちゃんだから仕方ないよなあ、と開き直る気持ちも出てきています。) 

やっぱり夢中になって手を動かしていると楽しくてたまりません。

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2016.06.09

梅仕事、庭仕事、ミニスツールづくり実験プロジェクト

20160607_144809 太陽太陰暦では、もう皐月。少し前ですが、急に相方が思い立ってくれて、ほたるのいる谷戸へ、夜中に自転車を走らせてみたら、もうちらほら、出はじめていました。ほたるって、どこか時空を超えた感じがあって、すきです。

日々があっという間に過ぎていく、せわしなさは相変わらず続いているのだけど、先月末に遊びにきてくれた(魔女の)ともだちのおかげさまで、ここ数日は、変に焦ってばかりいることから離れられていて、落ち着いていろいろこなせています。ありがたい。。!

とはいえ、ともすると、日中にへたばってしまうとかもあり、魔法(?)に頼るだけでなくて基礎体力向上をテーマにかかげないといけないと思うようにもなってきました。健康は日々のコツコツから、というともだちの言葉と実践に触発されたのもあります。

とにもかくにも、ようやく庭木の剪定(去年さぼったから2年分!)と、雨どいの大掃除と、梅仕事とミニスツールプロジェクトのつづきとをやれたので、自分的にはかなりほっとしています。仕事を後回しにしてるのが少しまずいけれど。。。でも仕事は取り組みはじめると他のことが何もできなくなるので、どうしても。。ね。。

20160605_080330 20160607_112032 梅仕事は、じつは今年はお休みする方向で考えていたのだけど、熊本の有機野菜を送ってくださった農家さんから、サービスで梅をいただいたので、急きょ一部を梅干しに、傷みが出たのを梅ジャムにしました。いつもは梅シロップを仕込むのだけど、相方は梅シロップがそれほど好きでないので、今年はジャムにしてみた。はちみつでひと瓶、黒糖でひと瓶。あと少し前に山椒の実をいただいて!これは塩漬けにしてみました。20160530_104926

雨どい掃除は、ひとりで梯子にのぼってやりました。全部やるのに5時間。。。でもずっと気になっていたので、ほんとうにすっきりした気持ち。西側の雨どいのお掃除は、特に最高に楽しかったのでした。ここだけ、梯子からセンダンの木に乗り移ってやるんだけど、この木のぼりが楽しく嬉しい。今の時期のセンダンは葉があおあおとしていて、かわいい黄緑色の丸い実もついていて。登らせてもらっているあいだじゅう、なんて美しい樹なの!と大絶賛が心の中で止みませんでした。センダンの木、ほんとうにだいすきです。

しかしこの木が秋に一斉に葉っぱを屋根に降らせるから、雨どいがつまる。。というのもあるのでした。それで今回は工夫を試みた。オグラカップさんというすてきな発明家の方がつくっていらっしゃる「トイクリーン」なるものを、入手しておいたので、これを設置。設置は簡単にできました。これで葉っぱのつまりがなくなるなら、すばらしいな。センダンの葉っぱの数は容赦ないから、もしかしたら追いつかないかもしれないけど。。。様子を見てみます。

東側のセンダンは、おとなりの家の雨どいにさしかからないようにと、冬のあいだにだいぶん切ってもらっていて、そのとき切った枝からスツールを1つ、すでにつくりましたが、もうひとまわり小さいスツールをつくる実験プロジェクトも、まだ進行中だったので、続きをしました。

このミニスツール実験プロジェクトでは、まず貫と座枠を直径12.7mmで削り出して、テノン(ホゾ)をつけたのが、2月29日。それらがカラカラに乾くのを待ちつつ、脚のパーツとして枝のまま(樹皮がついたまま)のセンダンを長さをそろえて切って(4月2日)、これらもすべて室内に置いて自然乾燥させていました。前回の大きいスツールのときは脚の乾燥が甘すぎてスプリットが出たので、今回は長めに脚を乾燥させてみたわけだけれど(2か月間!)、長すぎて乾きすぎちゃってないかが心配でした。

20160605_164201 とりあえず、脚のうち2本を、樹皮のない状態に削ってみました。削り馬の後足のホゾを削りなおしてジョイントを改良したので、安定がぐんとよくなって作業しやすかった。ミニスツールの脚はすでに2カ月乾燥させたので、樹皮がなくなっても急激な乾燥による割れの心配はないかな、と思ったけれど、念の為、樹皮を削ってすぐにブッチャーブロックコンディショナーという蜜ろうオイルを塗っておいた。

20160605_164416 ミニスツールの貫・座枠のテノンは、直径12.7mmだったのが乾燥後には直径11.7~12.4mmになっていました。ホゾ穴のサイズは直径11.5mmにすることにして、貫・座枠のホゾをナイフで縦12.0mm×横11.7前後の楕円形に調整。ちょっと手がかかりました(汗)。

乾燥しきった(生木ではない)センダンの切れはし枝に、直径11.5mmの穴を開けておいて、この穴にはめてみながらホゾの微調整をしました。穴に「きう」というきしみ音とともに入るくらいがちょうどいいサイズ。

20160606_221951 20160606_222423 そのあと、いよいよ脚4本にドリルで穴をあけて(これが一番神経使う…穴開けがまがりがちなわたしなので)、一気に組み上げました。パイプクランプで締めていって、ホゾがホゾ穴に入っていくときの「パキン、パキン」という音、なかなかよい感じでした。今回も実験として、糊なしで組みました。

わたしは出来上がりの形に多少ゆがみが出ることになっても、パーツは木目に沿って削ることを好んでしまう変態(?)です。。。だから組み上げはほんとにど きどきする。果たしてちゃんと組み上がるのか、ものすごくゆがんだらどうしよう、折れたらどうしよう、とスリル満点です。20160607_000323

今回は無事組み上がりました。目立ったゆがみもなくて、強度も大丈夫そう。センダンは細くてもしっかりしているように感じます。まあ、使用時の強度はこれから使ってみないと確認できないけれど。。

20160607_001108 今回は脚にスプリットは出ていないです。樹皮を剥いたほうの脚の穴開けのとき、下穴を開けるつもりにしてたのに、忘れて下穴なしでやっちゃったけど、大丈夫だった。

もう何日か、組み上がったジョイント部分の観察をしてから、座編みをする予定にしています。

* * *

「猫の額庭」の庭木の剪定は、切った枝葉の処理を相方が手伝ってくれたので、今年はだいぶんはスピーディーにできて、ほんとうに助かりました。ずっと「やりたいことリスト」に書いておきながら、なかなかできずにいたのだけど、翻訳仕事に切れ目が出ている今のうちに、と思ってやりました。

ただ実はその直前に、お隣の大家さんが、3日間職人さんに来てもらって共有庭のほうの木々をだいぶんスッパリと切ってもらっていて、あまりにスッパリ切られたので、なんというか、うううという気持ちになっていました。

20160603_233615 それでひさびさに少しだけ木削りしたら、とてもなぐさめられて。岐阜の講座のときにもらってきたエゴノキで、子供用スプーンを1つ削っただだけなのだけど、削っていると、ざわんざわんしてた気持ちが落ち着いてきて、共有庭の木々を剪定してもらったことで風通し・光の入り具合がぐんと増したことの良さを思い返したり、剪定で出た幹や枝をたくさんいただいたことも、グリーンウッドワークをこれからもっとがんばるきっかけをもらえたのだなと思えたり、この枝や幹は、きっと別の形で生きるようにしたい、と心から思ったりしました。

「猫の額庭」の木々はそれほど切りすぎないようにと思いつつ、環境再生士の矢野さんにちょっとだけ教わった原理を参考にして切っていきました。でも切りだすと、どんどん切ってしまう。。さっぱりすることを木々本人が喜んでもいたようで。そんなときに大家さんが見に来て「うちがあんなに切ったからって、そちらも切らなくちゃいけないってわけじゃないからね。。。」とやさしいお言葉をくださったのは、うれしかった。。。翌日にはお向かいのおじさんが「すごいねえ、ひとりでやったの?職人さんが来ていたのかと思ったよ」と言ってくださったりもして、お隣近所、みなさん気のいい方ばかりで、ほんとにありがたいです。

そして剪定で出る庭木って、すごい豊かだなあと改めて。グリーンウッドワークは山や森の保全・手入れに伴ってやるのが理想的だと思うのだけど、わたしは今のところ、身近な庭木との関係を深めることのほうに誘われているもようです。そしてそれがすごく嬉しく楽しかったりするのでした。日々同じ場所で一緒に過ごしている木々だから、なのかな?

ただ、自分の暮らしている関東の果樹などは、口に入れるカトラリーにするには若干の不安もあるので、西の遠方のお知り合いからも、剪定で出た果樹をいただけるのが、これまた嬉しかったりするのでした。

木削りは、なにより自分にとっては精神安定剤で。。。皐月の新月の午後、削り馬にまたがってミニスツールの脚になるセンダンの樹皮を削った後も、ソファに横になったら、胸の奥からじんわり幸せ感が押し寄せてきて、どうしたことかと思いました。

木々には、ほんとにお世話になっています。

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2016.05.21

植物力、というか

20160504_095212 玄関先で今年はアーチ状に茂ってくれたノバラは白い花を咲かせ終えて、知らぬ間に生えていたスズランや、ワイルドストロベリーも(どちらもやっぱり白い花だな)花をひととおり咲かせて。

20160426_112437 麦なでしこ(父が種をくれて秋にまいたもの)やクリスマスローズなど長く咲き続けてくれていたのが終わりにさしかかって、

20160521_150451 ここしばらくはハクチョウゲが満開で、キウイは薄オレンジ色の花をつけているところ。

20160521_150251 そして何年か前に相方が生徒さんからいただいた鉢植えの紫陽花も、数年ぶりにかわいい花をつけていて、うれしい。きれいだな。挿し木からすっかり大きくなったランタナも、地道にロングランでぽつぽつ花を咲かせてくれています。

20160521_150306 少し前に、なぞの芽が出た、と思って大事に様子を見ていたのは、シソでした。今やどんどん大きくなっていて、頼もしいかぎり。ヤツガシラも、プルメリアもまた新たな葉っぱをぐんぐん伸ばしだしました。

20160521_150413 20160521_1503004月終わりに種をまいたミニトマトもしっかり育ってきていて、5月になってからまいた藍と風船かずらも芽出しが始まりました。

季節のめぐりは、ほんとうに着々と、とまることなく進む。。。わたしが生活に追われてあっぷあっぷしている間に、みんなは着実です。

わたしも生活なんかに追われているより、もっとちゃんとみんなとめぐりの歩調を合わせていけたらいいのにな。仕事がぱつぱつなのと家事や夏じたく、いろいろ押し迫っているように感じていて、すぐしんどくなってしまいやすいこの頃でした。昨夜仕事のヤマを1つ超えられて、今日はひさびさに少しくつろいで、心の羽根を伸ばしてみれている感じです。

* * *

今朝は、ずっとうちに来なくなってひさしかった、野ねこの(さ)さんが、再びやってきました! しかし痩せこけて、ただでさえ小さめの体が一層小さくなってしまっていた。猫ミルクと猫ご飯をあげたら、すごい勢いで飲んで食べてたけれど、見たら食べながら目から涙を流していた。

食後、少し落ち着いて、顔を洗ってくれて。わたしもちょっとほっとしました。でも何があったかわからないけれど、だいぶんつらい日々だったのだろうと思う。商店街へ自転車を走らせて、消化しやすく栄養価の高い、子猫用のごはんを買ってきました。(さ)さんはもう子猫ではないけれど、今の状態にはふつうのごはんは負荷をかけそうに思えて。

そして(さ)さんを、うちの中で暮らしてもらうようにしてはどうか、とまた考えが走りだしています。どうも、外での暮らしを楽しんでいるようなタイプには感じられず、安心できる場所でのんびりしているのが好きそうに思えてしまうのだけど、それは自分の投影かな。

わたしもつい先日、とても悲しいできごとがあって、その記憶がなかなか薄まらなくて、対人恐怖がいままでよりも、やや大きくなっていて、電車で見知らぬ人の隣に座っているだけで危険を感じて緊張する、というような出方をしてしまっていました。通訳仕事で出かけなければならないので、出かけるけれど、仕事がすんだら飛ぶように家に帰ってくる、というこの頃でした。

知っている人、なじみのある人と会うと、心からほっとするのでした。なじみのある場所も安心する。

こんなとき、今までいろいろ学んできたこと、役立つツールがいっぱいあるはずなのに、それらを使うことすら思い付かなくなるのは興味深かった。ただひたすら膝をかかえてうずくまっている(心理的に)ことを、していたい感じでした。そうやっているあいだに、わたしの意識のとどかないところで、知らないうちに何かがプロセスされていて、そしてふたたび普通に元気になる、ということがあるように思えていて。

そして実際なにも工夫も対策もせずにいるうちに(ただ相方には話をきいてもらったりしました――ありがとう)、今朝の起きぬけに、全身の磁場(?)がそろうような体感が来て、大丈夫感がやってきました。この大丈夫感は、なんというか、ハラが決まった、みたいな感じでもありました。なにかが、無理なく自然と、きっぱりとして。なにか大きな全体像が見えた感じで、その全体において、わたしの中のなにかがはっきりしたような。うまく言えないけれども、とにかくもう翻弄されている感じはなくなったのでした。

あ。これは、居なおる、という感じなのかもしれない。

季節のめぐりとともに、確実に着実に変化して、生きるということをまっとうしていく、そういう植物のようなところが、自分の中にもある、ということなのかな。そのように、できているのかな、生き物として。

野ねこの(さ)さんも、やせこけちゃったけど、生きていて、うちに来てわたしに声をかけてくれたんだから、生きる力は、きっとだいじょうぶ。。損なわれていないすこやかなところがちゃんと活躍してくれているはずなのを、信頼しようと思います。

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2016.04.03

グリーンウッドワークのスツールづくり実験(2)

20160329_134136 お花見の季節。明日はあったかいらしい、ときいたある夜、「明日、ちらしずしをつくって、お花見に行きたいな」とひらめき。。。翌朝おきて、冷蔵庫にあった材料で菜の花ちらしずしをつくって、自転車で川べりをずいーっと走りました。

が、桜にはまだ一足早かった。。。でもひさしぶりのピクニック、ちらしずしがおいしかったのもあって、楽しく一気食い(!)しました。

いろいろあった3月が終わって、昨日今日とは、ゆっくりする週末を決め込んでいます(次の仕事があるのだけど、手をつけない、ということを練習中)。

20160403_115302 20160403_115352 昨日は寝室の片づけをして、忘れられたように置かれていたモノたちとちゃんと向き合って、それぞれに生きる場所を考えなおした。そのあとは、「繕いものの日」とする!と決めてたのが、やっぱり少しだけ木工をやってしまいした。。。小さいスツール用のパーツ(脚)を4本切り出して、そのとき出た端材を見てたら久々にスプーンを削りたくなって(汗) 手遊び的に1つつくりました。

* * *

さて、今スツールは大きいのと小さいのと2つ実験プロジェクトが進行中ですが、そのうち大きい方は、2月始めに岐阜で椅子づくりを終えてすぐ、忘れないうちに復習だー、と思ってとりあえずシンプルスツールをつくろうと、パーツ(貫と座枠)を削り出したのが2月16日。

ストーブをよくつける部屋に吊るして、パーツが乾くのを気長に待ちました。スツールの脚4本は、樹皮つきのまま寸法に切って、こちらは急速な乾燥で割れがおきないよう、木口にみつろうワックスを塗って、室内で自然乾燥させていました。

20160313_135328 20160403_163802 その間に、仕事に追われつつ家の外壁塗装しなおしプロジェクトや、スプーンナイフのスリムな皮カバーづくりや、替え刃式ノコギリの柄づくりや、スツールづくり用治具づくりなどして。。。

ようやっとスツールづくりの続きに戻ったのが、3月28日。

20160401_124627 脚のうちの2本の樹皮をドローナイフで削り取って、穴を開けて、貫・座枠をはめて組み上げました。

以下、自分用の防備録。

丸い脚に穴開けするときの、脚を支えるためのV字型の治具は、ホームセンターで、三角形のブロック4個と、角棒を買ってきて作成。三角ブロックのうち2個を半分に切って、角棒に載せて木工用ボンドで24時間圧着。20160403_150933_2

20160328_203111 これを削り馬の座面に乗せて、脚2本をのせて固定して、鏡を立ててドリルの傾きをチェックしつつ穴開け。穴の深さが25㎜になるよう、ドリルにビニールテープを巻いて印づけ。ノギスで深さチェック。

今回は、ラウンダー(えんぴつ削りのおばけのようなもので、貫の先端=テノンをまるく整える道具)のサイズの関係で、ホゾ穴のサイズは18.5mm。脚の太さは直径34~40mm。ずいぶん脚も長いこと乾かしたつもりだけれど、穴を開けてみると、穴の奥のほうはカラリとは乾いてなくて、しっとり感がありました。

しかし、樹皮をむいた脚2本は、穴を開ける過程で表面に亀裂が。穴開け寸前に樹皮を剥いたせいかも(急激に乾燥が進み始めたところで穴開けの圧が加わったため?)。下穴を開けなかったのもいけなかったかな。あと、センダンはあまりねばりがない材なのと、穴の径も大きかったせいかな? 樹皮がついたままの脚は、そのような亀裂は走らず。

でも今回はあくまで復習目的なので、亀裂があってもそのまま進める。。。多少亀裂があってもその他の部分の繊維が通っているから、強度的には大丈夫だろう、とかなり楽観的観測で。。。

貫・座枠は、生木の状態でテノンをラウンダーで19.1mm径に削ったものが、36日後には断面の径が縦18.5~20mm、横18.5~19mm。

組み上げは一生懸命だったので、写真がない。。。木槌で叩いて組み上げる、とマイクさんの本にはあったけれど、自信なかったので、パイプクランプを1つだけゲットして使用。パイプクランプは、貫をもみもみしながら、じわじわと力を加えられるので、いい感じではまった。「キウッ」という音がしてはまってくと、ちょっとうれしい。。

20160403_152653 このパイプクランプはebayでの初のお買い物。アメリカから届きました。サッシュクランプやパイプクランプを自分が入手するとはまさか思っていなかった(椅子づくり講座のときも、パイプクランプ3本で組み上げる段になって、これは自分ではできない、というか、道具がそろえられないや。。と気落ちしたくらいで)。。でもこのベッシーのパイプクランプは、木工用作業台のないわが家でも、床で作業ができるとわかって、1つだけ買いました。アメリカ価格で15ドルくらい。少し高さがあるので、ハンドルを回しても床につっかえないようになっていてグーです。パイプは太さ1/2インチのものを80cm分、ネジ切り加工済みのものを、たまごや商店さんから、千円すこしで購入。思っていたより大変な金額にはならなかった。。よかった。。

20160328_215202 20160328_232838 樹皮のついたパーツと樹皮なしパーツの取り合わせを考えて組み上げてみた。。組み上がると、思っていたより大きかった。。脚の上下の断面をナイフで面取りして、みつろうワックスをうすく一塗りして、一応フレームは完成。

座編みはこれから。。。なのだけど。

20160401_124658 フレームを組んでから翌日~翌々日くらいに、脚に貫を差し込んだ部分の、逆側の面に縦に亀裂が入っているのを発見。これはどういうことだろう? 

貫を差し込んだ部分の側の亀裂なら、マイクさんの本(『Living Wood』4th Edition P165)では原因として、①脚の乾燥が甘いと、カラカラに乾いた貫(脚の穴の横径にジャストサイズのもの)が組み込まれた後、貫が脚の水分を吸って膨張して太くなってしまい、脚に圧をかてしまう、もしくは②脚に穴を開けてから半日以上経った後で組み上げるときにも亀裂が起こる場合がある(穴を開けた部分が急激な乾燥にさらされて)、とある。あとは、理由③として、森林アカデミーで聞いた説明によると、組み上げた後、脚が乾燥するにつれて、貫に対して締め付けが起きる(このためしっかり組み上がる)けども、脚の乾燥が甘いとその締め付け度合いが強くなりすぎてしまうため。

今回のスツールの場合、組み上げた後の亀裂は、樹皮をむいた脚に起きているから、樹皮を剥いて、直後に穴開け・組み上げをしたので、乾燥が急激に進んで、理由③(もしくは①?)で亀裂が起きたのかな、と思う。。。 樹皮のついたままの脚は、組み上げた後、現在もっとゆっくり乾燥が進行中なはずだから、この樹皮つき脚に今後亀裂が出てくるかで、理由③(か①)かどうかが特定できるかな?

脚の乾燥が甘かった可能性は、ある。。脚は乾燥しすぎてもよくないと思って、ストーブをたいている冬の室内で36日置いただけで、貫・座枠のように、ストーブの真上に吊るすとかして直接温風をあてるようなことをしなかった。。。

あとは、もとより、マイクさんや、森林アカデミーで教わったのと大きく違うのは、丸いままの枝(=芯持ち材)を座枠以外のパーツに使っていること。芯の部分の乾燥は遅いので、これが一番、亀裂の原因として有力かなあ。。。

この件の検証はつづく。。。

とりあえず、復習と実験、たのしい :) 

丸いままの生木の枝で家具づくりをしているAlison Ospinaさんのやり方だと、ジャストサイズ(組むときキウッというくらいピチピチ)の円形テノン(楕円形でなく円形)を、ボンドを入れたホゾ穴に入れるのだけど、今回はボンドなしで、とりあえず組み上げ後の乾燥が進んでどうなるかを見てみるつもり。今のところ頑丈で、がたつきゼロ。

一応貫も座枠も、テノンの横径は穴にジャストサイズか0.2mmくらい大きめ、テノンの縦径は最大で1mm大きめくらいに調整して、楕円形のテノンにはしたので、論理的にはボンドなしでも大丈夫なんじゃないかな。。。局所的に縦径がジャストサイズに近いものになっている部分があるので、そこが心配だけれど。

座編みも練習をかねてやってみてしまうべきか、今後新たな亀裂なしの脚に取り替えてからにすべきか。。。迷う。。。

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2016.03.23

休日

20160323_173415 ヒメスミレらしきすみれが、「猫の額庭」に花を咲かせているのを、みつけました。予期しない場所にぽっといる、その感じが好ましかったので、写真をとらせてもらった。うつむき加減な咲き方をするのは、クリスマスローズたちと似ているな。

今日はまる1日、お休みの日にしました。ようやっと、読書の午後を過ごしました。まともに本を読むのは、3カ月以上ぶり。。。! 20160323_154750 お誕生日プレゼントに、サプライズでもらった『森は考える』という本なのだけど、意外に、ここしばらく自分が受けてきた刺激の中身を反映するというか、統合するというか、そんな内容で、ああ、全部つながっているし、ふさわしいときというのがあるんだな、と思いました。

夕方からはフィンランドの伝統食「カレリアン・ピーラッカ」を焼いたりして過ごしました。パン焼きも、かなーり久しぶりです。

20160323_195759 カレリアン・ピーラッカは、ライ麦粉の皮の中に、お米のミルク煮をつめて、オーブンで焼くのだけど、想像していたより、ずうっと簡単だった。。そして相方はめちゃくちゃに喜んでくれました。たべるときに、ゆで卵のみじん切りにバターを練り混ぜた「卵バター」というのをトッピングするのが定番らしく、それもやってみたら、なかなかおいしかった。

20160323_23451220160323_234645_2 夜は、好きなラジオ番組を録音したのを聞きながら、ノコギリの柄を削り終えました。少し前に、小さめの替え刃式ノコギリをホームセンターで見つけて、いいな、と思って入手したら、とても使い勝手がよかって、うれしくて。ピンクのプラスチックの柄のかわりに木製の柄をつくったら、もっと愛用できそうだなと思えていました。20160312_19000220160314_124409 刃ものの柄づくりは、初めてだったけど、なかなかおもしろかった。

ついでに、このノコギリのケースも、好みのボール紙で作成。北海道のマルセイバターサンドのあき箱で。

手を動かすと、ふしぎと心がやすまります。

たくさんの人に会って、いろんな刺激を受け取ってきた日々の後、こうやって過ごすと、ここしばらくのいろんなことがぽっと浮かんでは流れていって、「あのときのあれは、こういうことだったのかも」というふうに、その場その瞬間にはわけのわからないままにいたことの意味がこころに浸み込んできたり、別々だと思ってたものごとがつながってた!と小さいひらめきが降ってきたり。

お休みは、気分転換したり養生したりしてエネルギーをチャージする、という意味でしか、あんまり捉えてこなかったけど、消化とプロセッシングの時間でもあるのだな。。

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2016.02.21

走る

20160217_091820 淡い色のクリスマスローズが、3年越しで、とうとう大きな花を咲かせてくれました。葉っぱだけだった今までも、すごくかわいかったけど、こう見事な花が咲くと、おおおお、と思います。

昨日たっぷりと雨が降って、今日は空がぴかぴか。まさに「自転車でホームセンターまで走る日和」だったので、行ってきました。川沿いの道をぐーっと走った。気持ちよかった。

大好きな鵜がいました(いまだにウミウなのか、カワウなのか判別がつかない。。。くちばしの端っこの形をみるとわかるそうなのだけど、遠すぎてわからないのだった。。)。ユリカモメも大勢いた。陽を浴びて楽しげでした。

少し前だけど、この川に鵜が一羽、泳いでたと思ったら消えていなくなり、あたりはしーんとしたので、おかしいな、と思いました。そうするうちに、川面にほんの少しだけ小さな気泡が上がったので、じいっと注目していたら、そこからさらに距離のあるところで鵜が水面に顔を出しました。あまりに長い時間だったので、この潜水能力はすごいぞ、と思って、次にこの鵜がもういちどもぐった瞬間から、秒数を数えました。水面に出てくるまで18秒くらいあった。体は小さいのに、すごい。

鳥の話が続いてしまうけれど、今年さいしょの「ほーほけきょ♫」が聞こえてきたのは昨日でした。一気に「春スイッチ」が押される感じ。その2日前には、2人組のメジロがローズマリーの花のところに朝ごはんを食べにきていて、びっくりしました。メジロってローズマリーの花の蜜?を食べるんですね!

心楽しくなってきます。

20160216_132632 といっても、先週までは仕事でバーンアウトしたりしていました。月20160216_133007 曜納品の仕事を終えて、火曜日にはへたれになって、近所の灯台のところで、じいっと海を眺めて過ごしました。そうしたらだんだんリカバーしてきた。海のそばにいると、自分が何を感じているかが、だんだんじわりとわかってくるのでした。ありがたいです。

相方と仕事の合間に、2駅先のカフェまで、海沿いを自転車で走ったときも、帰り道、夕暮れと月と海とに囲まれて、ただただペダルをこいでいた時間が至福でした。いつもとは質の違うよろこびだった。原初的なよろこびに近いような。。20160219_173705

あわただしい日々で幸せ度が下がっていたので、こういう瞬間は尊かった。

しかし全般的に時間が足りないのは、わたしの仕事スピードが遅いからなのか、世界の時間の速度が速まってるからなのか、両方なのか。。。今週のお仕事は、絵本の訳の編集と校正を2日で、というもので、そんなやっつけ仕事をしていいのかな、と不安になったくらいでした。でもこのテンポが普通なんだろか??

なんだかあわただしさのなかで、ふつうのことをないがしろにしてるように感じるときが増えているような。植物にお水をあげるときに植物やカナヘビとあいさつすることとか。。ごはんを食べるときに、食べているものをちゃんと味わうこととか。。。

個人的に少し「躁」っぽい時期に入っているからかもですが。。。時間とのおつきあいも含め、ちょっと小休止して、リセットできたらなあ。。。それとも今はリセットでなく、このままぶっちぎる時期なのか。。。自転車で川沿いや海沿いをぐーっと走るのがこうも幸せななら、今はぶっちぎっているほうが正解なのかな??

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2015.12.19

もうすぐ冬至

20151219_152510_2 12月の関東は、空がきれいなところが気に入っています。いろいろ気ぜわしいけど、澄んだ空からとどく透き通る陽の光を、しばし、じいっと味わうひとときは至福。。

もうすぐ冬至。一年で一番夜の長い日だ。

20151127_155526 今年も「猫の額庭」からのいただきもので、常緑のリースを作りました。ハツユキカズラの輪っかに、3種類の常緑の葉っぱ。しかしなぜか今年はわが家の柊は全然赤い実をつけず(汗)。しかたなく、ナンテンの赤い実をつけました。20151130_133555_2

でもじきにナンテンの葉はちぢれてきちゃって、実も落ちてしまったので、その後は、センダンの木を削ってつくったジプシーフラワーをかわりにつけました。ちょっと渋い感じになっちゃった。20151219_152631

今年はあと、ふと思いついて、ローズマリーの枝のミニリースもつくってみた。ともだちへのプレゼントに。

ローズマリーは、数年前に、ある方がおみやげにと、彼のおうちの庭で育っていたのを束にして持ってきてくださった中の1本を、庭の地面に挿してみたところから、今はどんどん成長してふさふさに茂り、薄紫の花をたくさんつけるようになったものです。いい香りがします。

20151130_151633 土台の輪っかは、庭に生い茂っているカニクサのつるを乾かしたものを、やっぱり庭で元気なハツユキカヅラのつるで巻いたもの。20151130_154747_2

ふたっつ、つくりました。ひとつはこんなの。大事にしていた20151130_170948_2木の実コレクションから、大好きなモミジバフウの実をトップにつけて、ボトムは千日紅のドライフラワーと柊の葉です。モミジバフウの実以外はさしこんであるだけなので、はずれやすいかもなんだけど。。。なるべくワイヤーを使うのは最小限にして、まるまま土に還るようなリースをつくりたいと思って、いつもそうしています。

もひとつはトップにセンダンの生木を削った白いジプシーフラワー、ボトムは赤いリボンにしてみた。

そんなこんなで、少しホリデーシーズンを味わっているこの頃。ふだんお酒を飲むことほぼ皆無なのだけど、ホットワインなぞをつくって(アルコール分を飛ばして)飲んだりしています。

20151212_222149 赤ワインに、アーモンド、クローブ、オレンジピール、シナモン、生姜、レーズン、カルダモン。スパイスの味が染みて、おいしくなる。からだもあったまります。

* * *

色々忙しくて、それ以外は、さしたる手仕事はできてなくて、毛糸の靴下の穴開きをつくろうとか、持ち手のとれた手提げを直すとか、そんなことばかししています。

20151211_133012 あ、相方にクリスマスのプレゼントに、メガネ入れはつくりました。相方はメガネを外していることが多くて、いつもメガネは肩掛け式のメガネポーチなるものに入れているのだけど、少し前に、ポーチごとメガネをなくしたのでした。

前は布で手づくりしたりもしたけど、今回は、ちょっと趣向を変えてみたくなり。。。フィンランドの、シラカバの皮で編んだメガネ入れの存在を知って、おおーと思い、それを肩掛け式に改造してみた。20151211_14542120151211_14550120151211_145654麻のリボンを半折にして肩ひもをつくりました。それを白樺細工の編み目に沿わせて固定。白樺細工は使い込んでいくうちに、飴色にエージングしていくそうですが、果たして行方不明にならずにそこまでいけるかな。   

エージングといえば。。。春に桜の枝でつくったコーヒースクープが、季節を2つめぐって、コーヒー色に染まってきました。コーヒー豆のつぼのなかにいつもつっこんでいるためです。

Img_939820151207_132034左が元の色。右が今の色。まるでこんがり日焼けしたみたい。。。

今年はスプーンなどのカトラリーをいくつかつくってきたけれど、簡単なオイル処理しかせずに人に差し上げたりしていて。。(汗)、やっぱりちゃんと時間をかけて油分を浸みこませてからのほうが、耐久性もあがるし、よいだろな、と実感しているところ。

ああしかし。このところ木を削れていません。。年末年始は実家に帰るのだけど、おせちづくりの合間にでも、木削りをしたいもんです。うずうず。

木工用エプロンとナイフを、一応持参しようと思います。。。

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2015.04.03

桜その2 ~木と水のこと~

20150402_134836 桜満開。うちのおとなりさんの桜の木も、おそまきながら、花を開かせました。今はちょっと外を自転車で走るだけで、そこここで桜の花の下をくぐれて楽しい。満開の桜の下は、光を反射するからか、ひときわ明るいですね。桜の花自身も光を発しているのかな。

20150326_172837_2 桜の生木でスプーンを削ったり、桜もちをおやつに食べたり。お花を見る以外にも、桜からいただいたものがたくさんあるこの頃。

Img_9364 最近どうも精神の調子がよくないなあと感じていたら、相方が、「最近木を削ってないからだよ、1日2時間でもやるといい」と言ってくれたので、昨夜は前回の桜の枝の片割れでコーヒースクープ(コーヒー豆をすくうスプーン)をつくりました。

Img_9362 Img_9365 ただいま、スロウ乾燥中。削ったときに出た削りくずでくるんでおくと、急激な乾燥を防げて割れ防止になる、とボウル・ターナー(木の塊からろくろでお皿などを削り出す人)が言ってたので、まねしてみましたが、どうなんだろね…。

20150315_170248 今回は、桜の枝の片割れで、前回と同じような形のスプーンをつくろうと思って、削り出していったのだけど、削っていくうちに、コーヒースクープが木の中に見えてき ちゃって方向転換しました。(コーヒースクープはわがや用に欲しいな、としばらく思ってはいたのだけど。ここで出てきたので少し驚いたImg_9357)。Img_9356

スプーンの柄にしようと削り出した部分を思い切って切り落とし、逆側(作業時に押さえるために、おさじ部分の向こうにあまらせておいた木の部分)を柄にして、コーヒースクープをつくりました。

Img_9366 こういう深さのあるおさじを彫るのは、自分史上初めて。たのしかった。おさじ部分を彫り進めていったら、底の真ん中に、ハートみたいなものが出てきた!

あとは、ゆっくり乾燥させて、すこしやすりをかけて、オイルで仕上げです。

* * *

今回は、実験で、作業に入る前の桜の枝を、5日間水に浸けておいてみました。故秋岡芳夫さんの本『木のある生活』で知った、木材の「水中乾燥」の伝統が気になり中だからです。

秋岡さんは「木はそる あばれる 狂う 生きている だから 好き」と書いた額を家の壁に飾ってらしたそうですが、そうした木の個性と付き合うために、職人のみなさんは工夫を重ねてこられた、というのが木工の歴史。たとえば樹齢70年の桐を板にしたあと、倉の中で90年乾燥させてから使う、とか、家を建てるとき2階の床を二寸=6センチちかくある欅の厚板でつくって、百年後にはこの床をはずして、半分の厚さに挽いて欅の箪笥をつくる、とか、生育環境のせいで左にねじれる傾向をもった木を、右にねじれる傾向をもった木と組み合わせることで寺社などの頑丈な構造を実現するとか。「水中乾燥」というのも、そうした知恵のひとつだったらしいです。

Photo 昔の貯木場の写真を見ると、水に丸太を浮かせている。写真は昭和初期の大阪の貯木場(『目で見る大阪市の100年(下)』より)。山で伐採した丸太を、筏状にして、川をくだって運搬して、こうした貯木場に浮かべてストックする、ということが、かつては日本のいろんなところでされていました。

 

木は実は、水に強い、と秋岡さん。木は水中に沈められた状態なら、酸化も腐敗も起こさないんだそうです。大気中で湿気を帯びた状態では弱いけど、水中では強い。「木を腐らせているのは水ではなくて、菌や昆虫」だからで、こうした菌や昆虫が生息できない水中では木は強い、とのこと。

昆虫やカビが好むのは、木の中の樹液。伐採するのに適した時期(主に冬場)に伐採すると虫がつきにくく、カビもはえにくいのは、材の中の水分が少ない時期だから、といわれるけれど、この時期の材には樹液が少ないからでもあるらしい。

この樹液が、虫やカビだけでなくて、製材したあとの反り、あばれ、狂いの原因にもなるんだそうで、ものづくりをしたあとの狂いを最小におさえるために、先に樹液を抜いておく、ということを先人は考えました。

樹液は水溶性。そこで水中に沈めて貯木すれば、材の中の樹液を水と置き換えることで、樹液を抜くことができるんだそう。わたしも今回、5日間水に浸けてみたら、1日目にもう水の色がうすい麦茶のようになりました。樹液がでてきたのかな。

秋岡さんによると、吉野の杉を鉈で割って箸をつくっていた職人さんも、箸の材を水に浸けて「あくを抜いて」から作業していたそうで、仕事場の入口に水を張った桶を置いていて、その中に加工しかけの箸材をつけていたそうです。

山に暮らしてお盆やお椀をつくっていた木曽の木地師も、小川沿いに溜池をつくって、そこに材を浸けおきながら作業していたそう。

新潟と長野の県境、秋山というところでは、いろんな生活用品を木で自作自用する伝統があったそうですが、そこの集落にも、かつては家ごとに庭先に溜池が掘ってあったそう。これはトチの木の塊を水中乾燥させるためのもので、畑仕事の合間に、沈めておいた材を引き上げて、手斧とかで削り、農作業が忙しいときは削りかけのものをまた池に戻して、また「仕事を続けられる日まで幾日でも池に沈めて」おく。これを繰り返しながら、半年近くかけて、木のお鉢をつくっていたんだそうです。秋山の木鉢は、「最後の工程を除いたあとの全部を、木が濡れた状態で行います。水中乾燥と掘り加工を並行して行う伝統的な木工加工技術なのです」と秋山さんは書いていて、これはある意味、グリーンウッドワーク(生木の木工)なのだなあ、と思いました。

1024pxcapricornis_crispus_and_macac (秋山郷の木鉢については、「信州秋山郷 木鉢の民俗」という本を日本木地師学会さんが出しています、秋山の木鉢づくりの伝統を消さないために、という願いで2010年に出た本。読みたひ……。秋山郷は日本の秘境100選に入ってもいるそうで、いつか訪ねてみたいです。写真は2008年に撮影された秋山郷のニホンカモシカとニホンザル。)

指物師も、入手した板材を「雨に打たせて」から指物づくりにとりかかる伝統があったそうで、これも樹液を抜くための方法だった、と秋岡さんは書いています。

日本や世界各地のグリーンウッドワーカーで、水中貯木しながら作業している人っているのかな、と興味が湧いています。今度勇気をだして、訊いてみようかな……。とりあえず、今回の5日間水に浸けた桜のコーヒースクープがどうなるか、見て行こうと思うけれど。

* * *

イギリスに行って初めて触れたグリーンウッドワークから、毎回ブーメランみたいに、ぎゅいーんと日本の森と日本の木の文化に戻される感覚があります。日本の木の文化の伝統、すごいな、と……。

日本はフィンランド、スウェーデンについで、森林面積率が世界3位だというのも、先日初めて知りました。しかも、オークヴィレッジ代表の稲本正さんによると「生態系の豊かさでは、ダントツ1位」「様々な材がとれて、色々な活用法があって、木の文化が作られている」。

この間わたしのところにも出てきてくださった、木種をまいてこの島国をを森でいっぱいにしたという木々の神さま、五十猛神のがんばりは、なかなかすごかったんですね :)

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